〇 ページ24
「はぁ…、もうそんな顔しないで…止まんなくなっちゃう、ほら…」
『ば、か…っ』
「んはは、でも好きでしょ?」
腰に回した腕にグッと力を入れ体を密着させるとするりと足を絡ませ、ほんのりと赤らんだ顔をした彼女の唇を指先でなぞる。
そのままゆっくりと引き寄せられるように顔を近づけると重なる唇
そっとリモコンに手を伸ばすと室内の照明を徐々に落としていった。
「またね〜、ばいばーい」
「まったね〜!」
お客様のお見送りを済ませれば閉店時間まではあと数十分
最後に黒服に案内され戻ったテーブルはオープンから指名してくれて何度も戻っているテーブル
見た目は所謂地雷系な女の子、今までもそういったお客様はたくさん来店されてきた。
この子も最近よく本指名してくれるお客様で、太客になりつつある。
「ごめんね〜、何度も席外しちゃって」
「んーん、わたしがラストー?」
「そだね、お姫様がラスト、今日オープンラストだね、ありがと」
「わたし湊の為にいっぱい頑張ってるの」
「んは、ありがとう、めっちゃ伝わってる」
「ねぇ、だからアフター…」
「んー、ごめんね、最初に説明されたと思うけど俺同伴とアフターはやらないんだよね」
Aちゃんと付き合うようになってからホストの仕事は続けても、同伴とアフターはしない、オーナーに頭を下げて頼み込んだ。
そのことをオーナーも了承してくれて、店側からも説明をしてくれたりしているんだけれど…たまにこういう事も起きる。
「湊さん今日ラスソンでーす、お願いします」
「え?マジで?うわぁ、姫ありがとね、今日たくさんボトル入れてくれてたもんね」
「わたしのために歌ってくれるんだよね…?」
「うん、めーっちゃかっこいいとこ見せちゃうかぁ」
「お疲れっした〜」
「お疲れ様でーす」
挨拶をしながら裏口から出ると伸びをし夜中でも煌びやかな街並みに小さく溜息を零す。
配信をしつつ、必要な作業、収録、そんな中でのホストの方の仕事も久しぶりに連勤で重なり疲労感が蓄積されていくのが自分でも分かる。
ゆっくりと歩きつつ携帯を取り出せば彼女への帰宅の連絡を入れる。
すぐに既読がつくとスタンプと一緒に気を付けて帰ってきてくださいね、との文字
この一文でさっきまでの疲れが噓のように薄れていくのを感じる。
口元が緩むと足取りも軽やかに家路を急ぐ。
…後ろからの視線になんて気づくこともなかった。
713人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aKa(プロフ) - サイコロパンさん» いつもコメントありがとうございます!うちのfwくんの言い回しはまさしくその通りで純粋且つ黒い感情が入り混じっていれば、と思って動かしています。気付いて大好きと言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます!これからもまったりと更新していきます! (2022年8月8日 22時) (レス) id: 7ba2c9d64a (このIDを非表示/違反報告)
サイコロパン(プロフ) - 何度もコメント失礼致します。いつも素敵なお話をありがとうございます。度々出てくるfwくんの「ずっと一緒」というフレーズが、純粋な気持ちと不穏さ厄介さがいい感じに滲み出てて大好きです!更新を楽しみにしつつ、これからも応援しております。 (2022年8月6日 1時) (レス) id: 03716361f5 (このIDを非表示/違反報告)
aKa(プロフ) - サイコロパンさん» ありがとうございます!皆様からの評価やコメント等々でまた続編が書けました!これからもホス姫をよろしくお願いいたします! (2022年5月26日 23時) (レス) id: 7ba2c9d64a (このIDを非表示/違反報告)
サイコロパン(プロフ) - 続編おめでとうございます!そしてありがとうございます。これからもホス姫てぇてぇしながら応援しております! (2022年5月24日 22時) (レス) @page3 id: bb0450953c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:aKa | 作成日時:2022年5月23日 23時