〇 ページ25
『なっ、なんでっ、いやですよっ』
「やーーーだーーー！俺にもしてっ、してくれへんの？」
『うぅ…』
悲しげに眉を下げて少し顔を近づけジッと見つめれば姫からは小さな声で、ずるいその顔に弱い…との呟きが聞こえる。
うん、ごめん、知っててやってる。
『……ん』
おずおずといった様子で顔を上げ目を閉じると少し唇を出している姫。
あぁ…赤らんだ頬に恥ずかしそうな様子が堪らない。
誘われるがままに唇を近付けると軽めのキスをひとつ。
「んはぁ、ありがと」
俺は満足げに顔を離すと再びノートに目を通していく。
かわいいなぁ、これもかわいいなぁ、なんて思いながら次のページをめくった瞬間ピタリと思考が停止する。
「ひっ、姫…これ、誰」
『え？...あぁ、よく遊んでた男友達ですよ。この隣が友達の彼氏で、その友達です』
男女４人で写ったプリクラ、仲良さげな雰囲気に思わず姫に問いただせば返ってきたのは友達とのこと。
いやこれ絶対この男Aちゃんのこと狙ってたやろ、間違いない。
「ち、ちなみに…付き合ったり、とか」
『ないですよ〜！友達です、友達』
「そ、か…そっか」
『…不安ですか？』
ノートに置いた手に手を重ねてこちらを覗き込んでくる姫。
そりゃあ過去のことではあるけれど、俺の知らない姫をこの男は知ってるわけで…
なんてもやもや色々考えてしまっていると唇に触れる柔らかい感触。
「…へぁ？」
一瞬何が起きたのか、思考が戻ればもう一度同じ感触が。
何度か軽く触れる唇にゆっくり目を閉じると重なった手を取り指を絡ませる。
離れてしまう唇を追いかけもう一度重ねると腰に腕を回して抱き寄せる。
『ん…まだ、不安ですか？』
「…不安って言ったらもっとしてくれる？」
『もう大丈夫そうですね〜』
「あぁぁ…」
唇が離れするりと腕の中から抜けてしまった姫に情けない声が出てしまう。
くすくす笑う姫に唇を尖らせて拗ねた様子を見せるとちょんっと指先で触れられる。
『湊さんもキス待ちですか？』
「…んー」
そのまま目を閉じて姫の方に顔を向けると再び柔らかい感触。
一度離れた体をもう一度閉じ込めると角度を変えて何度も唇を重ねる。
気持ちいい、幸せ、俺って単純やな…さっきまで過去に嫉妬してたのに、でも今と未来の彼女は全部俺のだから。
過去くらいくれてやるよ
…しゃあなしな
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aKa(プロフ) - リュウさん» コメントありがとうございます！何度も読んで頂けてるなんて、嬉しい限りです。こちらこそ作品を読んで頂いてありがとうございます、これからも頑張ります！ (2022年6月20日 17時) (
レス) id: 7ba2c9d64a (このIDを非表示/違反報告)
リュウ(プロフ) - 急なコメント失礼します。この小説が好きで何度も読んでいるのですが、特にループ説が好きです。これからも素敵な小説を書いてください。応援しています。そして、素敵な小説を書いてくださりありがとうございます。 (2022年6月19日 2時) (レス) id: e1f1d0048f (このIDを非表示/違反報告)
aKa(プロフ) - 眠ネムさん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただけているようで本当に嬉しいです。今宵シリーズは定期的に挟んでいきたいなと思うくらい楽しんで2人を動かしてます。そんな2人を好いてくれてありがとうございます。これからもよろしくお願いします！ (2021年12月24日 16時) (レス) id: 7ba2c9d64a (このIDを非表示/違反報告)
眠ネム - コメント失礼します。最近この小説を読む事が、密かな楽しみとなりました。今宵シリーズの2人がとても好きです。これからも応援しています。 (2021年12月24日 13時) (レス) @page42 id: e1ee7cfe80 (このIDを非表示/違反報告)
aKa(プロフ) - りこさん» コメントありがとうございます！ループ説は書きたかった作品なので、反応していただけてとても嬉しいです。これからもマイペースに更新していきますので、よろしくお願いします！ (2021年12月18日 23時) (レス) id: 7ba2c9d64a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aKa | 作成日時：2021年12月8日 23時
