07. ページ7
.
「変な奴だろ？アイツ」
放課後、教室に来た場地さんに誘われ一緒に帰ることになった。アイツ、というのはAさんのことだろう。昼に会った彼女の顔を思い浮かべた。
「Aさん、綺麗な人っスね…」
自然と口から出た言葉だった。答えになっていなかったのか、一瞬ポカンとした場地さんを見てハッと我に返った。今とても恥ずかしいことを言ったような気がする。
しかし場地さんは再び笑顔を浮かべると、そうだな！と元気よく言った。
「アイツさぁ、学校でオレ以外仲良い奴いねーんだわ。
「…そういうことだったんスね」
Aさんも、この辺りでは有名な不良らしい。しかし頭が良く勉強ができるため成績優秀なんだとか。それゆえに周囲の生徒から一線を引かれているようで、学校の中で孤立してしまっているという。
さらに言えば、家庭環境も決して良いとは言えない。昼の会話でもあったが、2歳上のお兄さんは2年前に他界してしまい、Aさんが5歳の頃に母親は家を出て行ったのだという。Aさんの父はあまり家に帰ってこないらしく、今は小学生の弟と一緒に生活しているらしい。
「アイツは頭が良いし、喧嘩もそこそこ
悲しそうに笑う場地さんにつられ、俺も胸が苦しくなった。
「千冬ぅ、Aと仲良くしてやってくれよ」
「はいっ！！」
場地さんの頼みならば、断る理由はない。俺は昨日、この人についていくと心に決めたんだ。
それに、Aさんは優しい人だ。今日会ってそれを実感した。そんな人と仲良くなれるのは願ってもないことだ。むしろ俺からお願いしたいくらい。
「そーいえば、今日Aさんは一緒じゃないんですか？」
「あぁ。なんか用事あるから先帰ってろってさ」
いつもは置いてくと怒るのに勝手なんだよな、と呆れた様子の場地さんを横目に、そうなのか、と納得する。正門を抜ける前、どこか胸騒ぎがするのを感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ベリーショート(プロフ) - seayouさん» 素敵なコメントをくださりありがとうございます！この作品は絶対完結まで持っていこうと思うので、最後までお付き合いしてくださると光栄です！ (2021年8月20日 1時) (
レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
seayou(プロフ) - はじめまして！次の話をワクワクしながら読ませていただいてます！本当に面白くて、次の話を読むのが楽しみです！語彙がなくてこの素敵な作品を「面白い」としか表現できない自分が憎いです…これからも頑張ってください！応援してます！ (2021年8月19日 23時) (レス) id: 7ae5cb69bd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ベリーショート | 作成日時：2021年8月18日 3時
