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「そっか！それは良かった！」
可愛がってもらうんだぞー、と子猫に向かって微笑むと、子猫は嬉しそうに鳴いた。
「一応、1ヶ月後に抜糸するから。それまでに何かあったらまたおいで」
「うん！先生、本当にありがとう！」
キャリーバッグごと子猫を男の子に渡して、入り口で男の子を見送った。動物の命を救い、その家族の笑顔を見ることがこの仕事のやりがいだと私は思う。
診療時間が過ぎたため、片付けと戸締りをして病院を出た。すぐ隣のXJランドに足を運び、店の中に入る。
「千冬、なんか手伝うことある？」
「あ、Aさん！終わったんですね！」
店内の掃除をしていた千冬に声をかけると、あの可愛らしい笑顔で返ってくる。一虎くんと一緒にエサやりお願いします、と言った千冬にわかったと返し、一虎のいる方へと歩み寄った。
「一虎。手伝いに来た」
「よぉA。じゃあこっち頼むわ」
一虎は千冬と一緒にここで働いている。なんだかんだ、一虎が出所するまで手紙のやりとりは続いていたのだった。そのおかげもあってか、私たちに気まずいなんて感情はない。
猫たちを撫でながらエサやりを進めていると、掃除を終えた千冬がこちらにやってきた。
「もうすぐで終わるんで。Aさん、先に車で待っててもらえますか？」
「えー、終わるまで一緒に手伝うのに」
寂しがり屋は相変わらず健在だ。少しの時間でも千冬と一緒にいたい。拗らせ過ぎて、最近はさらに離れたくなくなった。だいぶ重症である。
「あとはオレがやっとくから。オレに任せて2人で先に帰れよ」
一虎からまさかの発言だった。あの一虎が今日はなんだか優しい、と驚きが隠せないでいたが、今日は一虎に甘えることにした。この後千冬と出かける予定だということを知っていた一虎が気遣ってくれたとわかったから。
一虎にありがとうと伝え、千冬と一緒に車に乗り込んだ。お互いに今日の出来事を話しながら、ネオンが光る東京の街中を走っていく。
いつか2人で来た、海浜公園。夜の海に輝くレインボーブリッジは、いつ見ても綺麗だ。
「千冬、私今、すっごく幸せ」
「オレもです、Aさん。オレの事、好きになってくれて本当にありがとうございます」
海を眺めていた顔を、お互いに向き合わせる。どちらからともなく、唇が重なる。本当に、幸せだ。
私が泣いた夜に。私は、大切な人からの幸せを受け取った。かけがえのない、大切な人。
_君が泣いた夜に_
fin.
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ベリーショート(プロフ) - seayouさん» 素敵なコメントをくださりありがとうございます！この作品は絶対完結まで持っていこうと思うので、最後までお付き合いしてくださると光栄です！ (2021年8月20日 1時) (
レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
seayou(プロフ) - はじめまして！次の話をワクワクしながら読ませていただいてます！本当に面白くて、次の話を読むのが楽しみです！語彙がなくてこの素敵な作品を「面白い」としか表現できない自分が憎いです…これからも頑張ってください！応援してます！ (2021年8月19日 23時) (レス) id: 7ae5cb69bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ベリーショート | 作成日時：2021年8月18日 3時
