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一瞬驚いた顔をしたAさんだったが、ゆっくりと瞼を閉じてそれを受け入れてくれた。初めてのキスはとても柔らかくて、なんだか不思議な感覚がした。それと同時に、幸せで胸がいっぱいになる。
そっと唇が離れる。恥ずかしさが押し寄せながらもAさんの方を見てみると、Aさんの顔も真っ赤に染まっていた。それを見てまた心臓がうるさく騒ぎ出した。
「…キスしたの、初めて」
消え入りそうな声でAさんは呟いた。お互い更に顔を真っ赤に染め上げて、今にも火が出そうなくらい熱くなっていた。
「…ふふっ、圭ちゃんのお墓の前で何してんだろうね私たち。千冬、このまま遊びに行こう」
場地さんにもう1度挨拶した後、はにかんだAさんに手を引かれて、渋谷の街へと駆け出した。
.
＿＿＿2018年
「おまたせ、もう大丈夫だよ」
「良かった…！先生、ありがとう！」
私は今、千冬が経営するペットショップ、XJランドの隣で小さな動物病院をやっている。千冬の夢を知り、すぐ横で支えられたら良いと思い獣医師の資格を取ったのだった。
車に撥ねられた子猫を連れてきた男の子が、涙を流しながらお礼を言ってくれた。医療用手袋を外し、私はその子の頭に手を置いて昔
「君が急いでここに連れてきてくれたから、この子は助かったんだよ。こちらこそありがとう」
キャリーバッグの中で子猫が小さく鳴いた。男の子は嬉しそうに微笑みながら子猫を見ていた。
「あっ、先生もしかして結婚してるの？」
私の左手の薬指にはめられた指輪を見て、男の子が言った。私は指輪を見つめて、頬を緩めながら男の子に返事をした。
「まだ籍は入れてないけどね。この前プロポーズしてもらったの」
指輪を見て思わずにやけてしまう。真っ赤に染まった顔で、真っ直ぐ真剣な目で私を見つめてプロポーズしてくれた千冬。あの時の喜びは、未来永劫忘れられそうにない。
「そっかー！おめでとう！相手の人どんな人？」
「中学の時から付き合ってる人。私の幼馴染が、彼に出逢わせてくれたんだ。笑った顔が本当に可愛くて、困ってる時は必ず助けてくれる、優しい人だよ」
瞳をキラキラさせながら男の子は話を聞いてくれた。なんだか小っ恥ずかしくなり、頬をかきながら話題を逸らした。
「子猫はどうする？」
「さっき電話でママに話したら、ウチで飼ってもいいよだって！」
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ベリーショート(プロフ) - seayouさん» 素敵なコメントをくださりありがとうございます！この作品は絶対完結まで持っていこうと思うので、最後までお付き合いしてくださると光栄です！ (2021年8月20日 1時) (
レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
seayou(プロフ) - はじめまして！次の話をワクワクしながら読ませていただいてます！本当に面白くて、次の話を読むのが楽しみです！語彙がなくてこの素敵な作品を「面白い」としか表現できない自分が憎いです…これからも頑張ってください！応援してます！ (2021年8月19日 23時) (レス) id: 7ae5cb69bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ベリーショート | 作成日時：2021年8月18日 3時
