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前言撤回。やっぱり昴さんは昴さんだ。ビクッと大きく肩を揺らした生徒たちはそそくさと道を開けて帰っていった。ギャラリーに向かって凄み圧をかける昴さんは、コロッと表情を変えるとオレに向かって優しく微笑んだ。


「千冬、圭ちゃんのお墓参り、一緒に行こ」

Aさんは颯爽と歩き出すと、オレの左手を取って手を繋いでくれた。サラッと恋人繋ぎをしてくるものだから、心拍数が急上昇する。本当に、Aさんは1歳上とは思えないほど大人びていた。


お供えの花束とペヤングを買った後、場地さんの墓の前へとやってきた。家族の方が来ていたのか、墓石の周辺は綺麗に掃除されていた。花を入れ替え、Aさんと一緒に線香を供えて合掌する。


「圭ちゃんといるとさ、なんでもない日常がキラキラ輝いて見えたんだ」

千冬もそう思うでしょ?と聞かれて、はい、と返事をした。人を嫌い、人を傷つけてきたオレの人生を変えてくれたのは、場地圭介だった。


「馬鹿みたいに笑い合える日々がこれからも続いていくんだって、私は勝手にそう思ってた。でも、圭ちゃんにはもう会えないんだ」

Aさんの言葉に、ただただ耳を傾けた。けれどAさんの瞳は真っ直ぐで、強い決意を宿したようだった。


「私はもう、大切な人を失いたくない。これから先どんなことがあっても、私は大切な仲間を守る。圭ちゃんとの約束。みんなが幸せでいることが、私の幸せだから」

Aさんから目が離せない。凛としたその表情はこの世のどんなものよりも高潔で、美しかった。Aさんは、本当に強い人だ。けれど1人で突っ走って暴走してしまう時もある。だからオレは、Aさんのことを守りたい。


「Aさん、前に約束したこと、覚えてますか。オレは場地さんと約束したんです。Aさんのこと、絶対幸せにするって。頑張るAさんを、オレが命をかけて守りますよ」

Aさんの目を真っ直ぐ見て、そう言った。


「…ふふっ、千冬ってば、愛が重いね」

微笑むAさん。自分の言動を振り返り、ブワッと顔が熱くなる。

「なっ…オレは真剣です!」

「わかってるよ。私、幸せ者だ」

今までに見たことないくらい、輝かしい笑顔でAさんは笑った。さっきまでの恥ずかしさに上乗せして顔が熱を帯びていく。


もう、抑えられそうになかった。


Aさんの肩に手を置き、そっと口付けをした。ふわり、Aさんのいい香りがいっぱいに広がる。

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ベリーショート(プロフ) - seayouさん» 素敵なコメントをくださりありがとうございます!この作品は絶対完結まで持っていこうと思うので、最後までお付き合いしてくださると光栄です! (2021年8月20日 1時) (レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
seayou(プロフ) - はじめまして!次の話をワクワクしながら読ませていただいてます!本当に面白くて、次の話を読むのが楽しみです!語彙がなくてこの素敵な作品を「面白い」としか表現できない自分が憎いです…これからも頑張ってください!応援してます! (2021年8月19日 23時) (レス) id: 7ae5cb69bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ベリーショート | 作成日時:2021年8月18日 3時

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