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「Aさん、場地さんが最期にAさんに残した言葉、聞いてくれますか」

泣いた赤子をあやすような、千冬の優しい声が聞こえた。それに反応して顔を上げると、千冬はそっと私を離して正面に立った。その顔は、今にも泣き出しそうだった。


「場地さんは、Aさんに幸せになってほしいって言ってました。オレが死んだらしばらく悲しむだろうけど、立ち直って強く生きてほしいって」

幸せになってほしいだなんて。圭ちゃんが死んでしまったら意味ないじゃないか。本当に馬鹿だなぁ、と思って涙を拭いていると、千冬が言葉を続けた。


「…こんな時に言うのは卑怯かもしれねぇ。けど、これがオレの精一杯の気持ちです。Aさん!オレはあなたのことが好きです!!オレがAさんのこと、幸せにしてみせます!!」

バッと勢いよく千冬が頭を下げた。突然のことに頭が追いつかない。これは告白だ。好き?千冬が、私のことを…?

圭ちゃんが言ってる幸せになってほしいって、こういうことなの?圭ちゃんは、私が千冬のこと好きだって、気づいてたってこと?


さまざまな疑問が浮かんでくるも、流れ出した涙に答えはあった。千冬に好きだと言われて、私は心の底から嬉しかった。好きなのは、私も同じだったから。


「千冬、ありがとう。私も千冬のこと大好きだよ。幸せにするって、約束だからね」

泣き腫らした目を擦りながら、顔を上げた千冬に向かって微笑んだ。今は不思議と、恥ずかしいとは感じなくて。好きな人に好きだと言ってもらえたことが、ひたすら嬉しかった。


「千冬に出会えたのも、圭ちゃんのおかげなんだよね」

そう言って微笑むと、千冬も自然と笑顔になった。圭ちゃんは、ひとりぼっちだった私を仲間に巡りあわせてくれた。大切な仲間が、たくさんできた。私はもう、ひとりぼっちじゃなくなった。

千冬もマイキーも、みんな圭ちゃんの死を重く受け止めて、前を向いて生きているんだ。私だけがいつまでも立ち直れないでいたら、圭ちゃんに怒られてしまう。


「私、明日からちゃんと学校行く。絶対帝山に受かって、私もいつか、千冬のこと幸せにしてみせるよ」

「はいっ!!ありがとうございます!」


夜の公園で、2人で涙を流しながら笑いあった。圭ちゃんは私に、大切なものを与えてくれた。圭ちゃんはこれから先も、私の大切な幼馴染だ。


私も、前に進まなくちゃ。

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ベリーショート(プロフ) - seayouさん» 素敵なコメントをくださりありがとうございます!この作品は絶対完結まで持っていこうと思うので、最後までお付き合いしてくださると光栄です! (2021年8月20日 1時) (レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
seayou(プロフ) - はじめまして!次の話をワクワクしながら読ませていただいてます!本当に面白くて、次の話を読むのが楽しみです!語彙がなくてこの素敵な作品を「面白い」としか表現できない自分が憎いです…これからも頑張ってください!応援してます! (2021年8月19日 23時) (レス) id: 7ae5cb69bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ベリーショート | 作成日時:2021年8月18日 3時

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