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どこか哀愁を感じさせる微笑みを浮かべながらマイキーは言った。それに感化された私も、胸が締め付けられるような思いに囚われる。私は、圭ちゃんとマイキーを信じることにした。


「…わかった。マイキー、圭ちゃんのこと頼んだよ」

「ああ。わかってる」

ポンポン、と優しく頭を撫でてくれるマイキー。怒鳴ってごめんねと言った後、マイキーに手を振って帰り道を歩き出した。





.




淡い期待と願望は、悲惨な顛末を迎えることになる。


「圭ちゃんが…死んだ?」

10月31日。千冬が突然家に訪ねてきたかと思えば、知らされたのは圭ちゃんの訃報だった。後に"血のハロウィン"と呼ばれる抗争は、死者1名、逮捕者1名という凄惨な結末で幕を閉じた。

圭ちゃんが死んだ。この事実を、私は受け入れることができなかった。メールを受け取ったあの日から一言も会話をすることができないまま、圭ちゃんはこの世を去った。

場地を守れなくてごめん。マイキーは、今にも泣きそうな表情で私に謝った。けれど私は、千冬からすべて伝えられていた。圭ちゃんは東卍を守るために、一虎を守るために、自ら命を絶ったのだと。マイキーやみんなを責めることは、圭ちゃんを冒涜(ぼうとく)することと同じだ。

私は、何もできなかった。何もしてあげられなかった。そもそも私に、みんなを責める資格なんてない。


圭ちゃんのお通夜も、葬式も、あっという間だった。もう笑うことのない、圭ちゃんの顔。初めて出会った時、抱きしめてくれたあの時の体温はもう感じることなんてできない。

圭ちゃんの死が、受け入れられない。心ここに在らずといった言葉が当てはまるように、あれから数週間、私は抜け殻のような日々を過ごした。勉強も手につかなくなり、学校にも行かず部屋に引きこもるようになった。


「姉ちゃん、ちょっとでもご飯食べないと…病気になっちゃうよ」

「食べたくない…」

食事もまともに喉を通らなくなった。心配そうな暁の顔が視界に入る。逃げるようにして、暁に背中を向けて布団に潜った。




かけがえのない人を失った。圭ちゃんのいない世界なんて、生きていたって仕方がない。


満月が綺麗な、11月の夜。団地の最上階までのぼり、外へ飛び降りようと階段の手すりに足をかけた。


「Aさんっ!!!何してるんスか!!」

身を投げようとしたところ、千冬に腰のあたりを抱えられて阻止される。なぜ千冬がいるのかと疑問に思ったが、おそらく暁が助けを求めたのだろう。

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ベリーショート(プロフ) - seayouさん» 素敵なコメントをくださりありがとうございます!この作品は絶対完結まで持っていこうと思うので、最後までお付き合いしてくださると光栄です! (2021年8月20日 1時) (レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
seayou(プロフ) - はじめまして!次の話をワクワクしながら読ませていただいてます!本当に面白くて、次の話を読むのが楽しみです!語彙がなくてこの素敵な作品を「面白い」としか表現できない自分が憎いです…これからも頑張ってください!応援してます! (2021年8月19日 23時) (レス) id: 7ae5cb69bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ベリーショート | 作成日時:2021年8月18日 3時

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