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「オレに、構わないでください」

振り絞るように千冬は言った。私はしばらく状況が飲み込めないまま、ただ千冬を見ていた。俯いたまま動かない千冬の表情はわからなかった。


「は…?何でよ、早く手当てしないと!」

「放っとけって言ってんだろ!!!」


聞いたことがないくらい、大きな声だった。私を押し退けて、千冬は階段の上へと消えていった。呆然とその場に立ち尽くしたまま動けなかった私は、ようやく歩き出した。


「何なの…圭ちゃんも、千冬も…私のこと、嫌いになったの…?私、何かした?」

考えれば考えるほど、溢れる涙は止まらない。頬を伝い落ちると、アスファルトに丸い染みができていった。突き放すくらいなら、最初から私に優しくしないでよ。


「圭ちゃんと…千冬の、バカぁぁあ…!!」

その日は日が暮れるまで、団地の壁に背中を預けて泣いた。孤独と悲しみに胸を締め付けられ、涙が止まった後も気分が晴れることはなかった。




.




それから何日か経った後。私はマイキーのところにいた。圭ちゃんの意味深なメールに、千冬の怪我。マイキーなら、知っていると思った。

案の定、それは当たっていて。圭ちゃんは東卍を抜けて芭流覇羅というチームに入ったのだという。そして、10月31日に抗争が起こるということを知った。千冬の怪我は、圭ちゃんの芭流覇羅入りを認めさせるための踏み絵だったということもわかった。


「オレは場地を連れ戻すつもりでいる」

マイキーは真っ直ぐ前を見つめたままそう言った。圭ちゃんが何を考えているのかはわからないけど、1人で戦おうとしていることはわかった。そして、圭ちゃんは東卍を裏切ったりなんかしない。


「私も圭ちゃんを助けたい!!マイキー、私もみんなと一緒に戦う!!」

だめだ。はっきりとそう断られる。でも!と言葉を発しようとすれば、それを遮るようにマイキーが続けた。


「お前が行って何になるんだ?抗争はチーム同士のことだ。お前は東卍のメンバーですらねぇ」

「ならこのまま指咥えて見てろって言うのかよ!!」

マイキーの言い草に腹が立ち、思わずそう叫んでいた。しかしマイキーは顔色ひとつ変えることなく、無表情のまま私との距離を縮めてきた。すぐそこにマイキーの顔がある。

「そうじゃねぇ。場地と千冬は、お前を危険な目に合わせないためにわざと遠ざけたんだ。…オレたちが場地を連れ戻すから、お前は笑顔で場地を迎えてやれ」

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ベリーショート(プロフ) - seayouさん» 素敵なコメントをくださりありがとうございます!この作品は絶対完結まで持っていこうと思うので、最後までお付き合いしてくださると光栄です! (2021年8月20日 1時) (レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
seayou(プロフ) - はじめまして!次の話をワクワクしながら読ませていただいてます!本当に面白くて、次の話を読むのが楽しみです!語彙がなくてこの素敵な作品を「面白い」としか表現できない自分が憎いです…これからも頑張ってください!応援してます! (2021年8月19日 23時) (レス) id: 7ae5cb69bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ベリーショート | 作成日時:2021年8月18日 3時

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