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「暁、姉ちゃんはこれ以上深追いしないけど、話したくなったらちゃんと言うんだよ。心配かけさせまいとしてるんなら、いらない遠慮だからね」

約束、と言って右手の小指を絡めとった。今度は目を合わせて、暁は頷いた。


「よし。お皿に盛るから、運ぶの手伝ってね」

うん!と元気よく返事をして、暁は笑った。お客さんである千冬くんにも手伝ってもらってしまったが、3人分のカレーとサラダを食卓に並べ、いただきます、と声を揃えた。


「!うまっ!めっちゃ美味しいっス!!」

「本当!?今日のは力作だと思ったんだよねー!」

目をキラキラさせて、とても美味しそうに食べてくれる千冬くんを見て心の底から嬉しくなる。暁も、美味しい!と言って笑顔を見せてくれた。作った甲斐があるというものだ。





「千冬くん、ちょっと外で話さない?」

あっという間に食べ終わり、片付けも終えたところで千冬くんに声をかけた。わかりました、と返事が来たのを確認した後、暁には先に風呂に入って寝るように伝えた。エプロンを脱ぎ、玄関を出て団地の敷地内の公園へ向かった。


「やっぱ夜は冷えるなー、千冬くん寒くない?」

「全然平気っス!Aさんは寒くないっスか?」

明るく笑う千冬くんに、大丈夫だよ、と返した。近くにあるベンチを指差し、2人並んで腰掛ける。古い木材が軋む音が聞こえた。老朽化がだいぶ進んでいるようだ。


「くどいかもしれないけど、暁のこと、本当にありがとうね。私じゃあの子に上手く関わってやれなくてさ」

ハハ、と渇いた笑いが出た。私は、自分が情けない。何かを言おうと口を開く千冬くんを(さえぎ)るように、続け様に言葉を紡ぐ。


「本当はさ、暁が同級生の子からいじめられてるの、薄々気づいてたんだ。でもあの子は、そのことをずっと隠してる。私に心配かけさせないようにしてるんだね。本当に、ダメな姉貴だよね、私は」

他人の自虐なんて面倒臭いもの、聞きたくないだろうに。わざわざ千冬くんを引き止めてまでする話ではないことくらい、自分が一番よくわかってる。結局私は、優しい人につけ込んで甘えてるんだ。



「Aさんは、ダメなんかじゃないっスよ」


それでも君は、私の欲しい言葉を言ってくれるんだね。

千冬くんの真剣な眼差しに、思わず目が離せなくなる。出会ってまだ日が浅いというのにここまで優しくしてくれる人なんて、そうそういるもんじゃない。

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ベリーショート(プロフ) - seayouさん» 素敵なコメントをくださりありがとうございます!この作品は絶対完結まで持っていこうと思うので、最後までお付き合いしてくださると光栄です! (2021年8月20日 1時) (レス) id: 2d5afa7553 (このIDを非表示/違反報告)
seayou(プロフ) - はじめまして!次の話をワクワクしながら読ませていただいてます!本当に面白くて、次の話を読むのが楽しみです!語彙がなくてこの素敵な作品を「面白い」としか表現できない自分が憎いです…これからも頑張ってください!応援してます! (2021年8月19日 23時) (レス) id: 7ae5cb69bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ベリーショート | 作成日時:2021年8月18日 3時

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