5話 ページ44
ｿﾞﾛ「参ったな…ウソップの奴どこ行った…」
もはやどうすればここまで迷子になれるのか知りたい程だ
1人フラフラと商店街を抜け、裏通りを歩く…
賑わっていた声も遠のき、少しずつ自然の音が目立ってくる
鼻腔をくすぐる香りは、森が近いのだろうか
案の定、抜けた先は森の入口で、
青々と生い茂る草木を風が優しく撫で行く…
だがゾロが惹かれたのは森ではなく、
抜けて来た道の左手にある、小さな店…
商店街からも、住宅街からも外れた場所…
知る人ぞ知る…という店なのだろうか
外装はやけに古いし、人がいる様子もない…
ただ何故か気になる…足を向けたくなるような
そんな雰囲気が漂う店に、ゾロは足を踏み入れた
カランコロンッ…ギー…
小さなベルの音と、木製扉特有の軋む音…
中に入ってみると、意外と広い内装に驚く
…アンティーク…とかいうやつだろうか
ツギハギのソファー、ガタついた椅子…
欠けたスノードームに、折れた髪飾り…
妙なことに、そのどれもが何かを抱えている
それは傷だったり破損だったり多種多様…
「お探し物ですか？お兄さん」
ｿﾞﾛ「！？」
そこにはゾロよりも40センチ程小さな少女…
さっきまで人の気配すら感じなかったのだが…
少女がもう一度同じ問いを投げてきたので、
ここがどこで、何なのかと聞いてみる
少女「ここは"何でも屋"…けどここにあるのは
全て意志を持ったもの達ばかり…」
ｿﾞﾛ「意志…？」
少女「ほら、ここにスノードームがあるでしょう？
普通ならこんな傷が付いたら、簡単に割れてしまう…
でもこの子は、我慢したの」
ｿﾞﾛ「？？」
少女「ふふ…お兄さんには分かりづらいよね
でもここにいる子達は皆そういう子なの
皆主人に会うためにここで待ってるの」
ｿﾞﾛ「それは元の持ち主って意味か？」
少女「そうね、持ち主さんに会えたら幸せだろうけど…
ここに来て、気に入ってくれる
新しい持ち主さんをここで待ってるの」
ｿﾞﾛ「なるほどな」
確かによく見れば不自然な傷はひとつもない
生活の中で付いたものや、使っていて故障したものなど
全ての物が、生活を背景に映していた…
独特な雰囲気の店だが、嫌いではない
それどころか落ち着く雰囲気すらあるここに
ゾロは少しだけ、飛び出してきた故郷…
天国にいる親友の事を思い出した…
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白銀幸成(プロフ) - すみません、外し忘れです。ご指摘ありがとうございます。 (2020年4月17日 20時) (
レス) id: d7991ec165 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白銀幸成 | 作成日時：2020年4月17日 1時
