哀悼の酒、盟約の花 ページ17
島に到着し、各々が散っていく昼下がり
真っ先に降りていくAを見て、
ナミは少し違和感を抱いていた…
ﾅﾐ「A、今日元気ないわね」
ﾛﾋﾞﾝ「剣士さんと喧嘩でもしたのかしら？」
ﾅﾐ「あの2人ならちゃんと言い合いするわよ
Aもゾロも、不満は相手にぶつけるもの」
ﾛﾋﾞﾝ「何かあったのかしら…」
甲板での静かな会話を聞きながら、
サンジは1人、キッチン前で煙草の煙を燻らせた…
もうそんな時期か…
きっと荷物を持って帰ってくるだろう…
1人にしてあげたいが、後を追うことにしたサンジ
荷物持ちとして付き合う為だ
船を降りて直ぐに、Aに追いついた
普段なら用件と道順をハッキリさせ、
さっさと済ませるタイプの彼女
今日は正反対に心ここに在らず、というような
どこか浮かない顔つきでゆっくりと歩いている
ｻﾝｼﾞ「A…荷物持ち、手伝う」
『…ああ…サンジか、うん…ありがと…』
ｻﾝｼﾞ「…顔、随分と青白いぜ？」
『…そうだね…朝、食べれなかったし』
ｻﾝｼﾞ「俺がちゃんと管理してんだ
栄養不足にならねぇように、夜は食えよ？」
強制はしない、彼女がこうなるのは今日だけだ
正確には"この日"だけだ…
彼女は今日、1度もゾロと顔を合わせていない
きっとこんな姿を見せたくないのだろう
彼女の騎士道精神にある"弱味を見せることは恥"
サンジとしてはそんなことは無いと思うのだが、
彼女にとって、剣士たるもの常に精進
ということなのだろうか…
寝腐れ剣士がよく行う、心頭滅却というやつか
悲哀すら、彼女には邪念となるのか
『サンジ…今年は、サンジがお酒選んでよ…
数年間、選んでもらってないからさ』
ｻﾝｼﾞ「任せろ！ちゃんと上物渡してやるよ！」
『うん、よろしく』ﾆｺ
Aからすれば、負の感情に埋め尽くされる自分に、
こうしてサンジが明るく付き合ってくれることが有難かった
なんだかんだ、サンジは優しい
昔から何かと世話になっていたなと思い返す
積年の罪悪感で悲哀の終焉にいるのに、
それすらサンジは包容して救い上げてしまう
弱味を見せまいと1人でいるのに、
それすらサンジは理解して笑ってしまう
今日だけは、彼の言葉に甘えてしまおうか…
彼の眩しい程清々しい笑顔に1つ笑みを返す
それだけで、少し心が軽くなった気がした…
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白銀幸成(プロフ) - すみません、外し忘れです。ご指摘ありがとうございます。 (2020年4月17日 20時) (
レス) id: d7991ec165 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白銀幸成 | 作成日時：2020年4月17日 1時
