二通 ページ3
「敦がやられたというのか?!」
国木田がドン!と机を叩いた。
武装探偵社の社員は皆シン、と静まり返っている。
「与謝野さん、容態は……」
「治療はした。そこまで深い傷じゃ無かったよ」
それまで青ざめていた国木田の顔が少しホッとした。
「……敦君がやられるなンて、若しかしてポートマフィア…?」
「……私、犯人捜してくる」
泉が扉を開け、外に出た。
「鏡花ちゃン!?」
その後を谷崎が追いかけた。
「……暫くは単独行動を控えよう。いつ襲われるかわからないからね」
江戸川が駄菓子を口に放り込んだ。
ピリリ……と電話が鳴った。
太宰が電話を繋げる。
「……何だ蛞蝓か」
やッと出た……ッてンだと手前!と大きな声が社内に響き渡る。
《おい太宰、手前ンとこの人虎が俺らの縄張り荒らしたそうだなァ?》
「え?敦君なら、昨日君たちポートマフィアにやられて、今は眠ってるよ?」
そんな嘘は要らねぇ、と電話の相手____中原中也が吐き捨てる。
《コッチはハッキリ見たッつう奴がいンだよ。手前ンとこの人虎が、短剣で刺したッてな》
それも一時間前にな。
社内がまた静まる。
「……これは、別の誰かの仕業か」
太宰が呟く。
「良い情報が聞けたよ、蛞蝓も偶には役に立つじゃないか」
あぁ?!という声を最後に電話を切る。
「決まりだ。谷崎君にも後で連絡をしておこう」
こうして、見えざる敵との短い戦いは幕を開ける。
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作者名:華菜太 | 作成日時:2017年8月7日 23時