【募集企画】cherry【小説】

連れてこられた場所は【碧谷 茜】 ページ4

「せんぱーい！おーそーいー！」


周囲の視線を集めるくらいの大声で叫ぶ後輩に呆れ顔で近づく。

「んもぅ！6分もうちを待たせるなんてー...先輩、約束忘れてたんですかっ？」

ブツブツ言いながら私に説教をするのは同じ美容室の後輩。
花子っていう一見トイレの花子さんみたいな地味な子だと思われそうな名前だが、性格は逆。

明るいを通り越したうるさいとも言えるような感じ。
私とは縁の無さそうな子だが、先輩後輩という接点から休日出かけるような仲になった。


「ごめんね...、ちょっとメイクが...」

「先輩はメイクしなくても可愛いからてきとーでいいんですよ！ほらっ、行きますよ！」


お世辞とも言えることを言われ、グイグイ引っ張られる。
...なんて元気な子なのだろう...。

そんなことを考えながらも、自分の体力ギリギリまで花子についていった。


...と、そういえば、明日はまた仕事だなー。
今日はなんとか有給で休み貰えたけれど、もう使いきったといっても同然。

あー、私の有給がー、消えていくー


「...い、せんぱい、先輩！！」

「ふぇぁい！？」


色々な考え事をしているうちに目的地に着いたようで大声で叫ばれる。
めっちゃびびって変な声でたぁ...


「ブッフォwせ、んぱwwどうしたんすかwww」

「...おい、笑うな」


女といえない笑い方をしている花子にグーパンを一発。
「ぐえっ」とか大袈裟な声出してるけどいつものことだし...いいや。

...それよりも。


「花子、何、ここ。」

「え、ホストクラブだよ？」

「なんで...？」

「ちゃんと予約したし、大丈夫さー」

「...」


そこじゃないだろ と言う代わりにもう一発グーパンをいれる。

花子は「はいはい、わかりましたー、説明しますから」と言って姿勢を直した。


「先輩、イケメンに会いたいですか！？」

「...は？」

「ったく、先輩は恋愛に疎いんでねー。せっかくだし、イケメンに囲まれて私も素敵な彼氏作ろっかな(はぁと)みたいな感じの展開を求め...ぐぇっ」

「何言ってんのさ...」


冷たい目線で本日3回目のグーパン。
さすがに懲りたのか花子がそのホストクラブ(？)の入り口まで引っ張ってきた。

抵抗したが、予約も入れてあるってことだし、しょうがなく入ってみた。
入ってみるだけのつもりだった。



「うわー、かっこいい人と美人な人ばっかり！ね、すごいでしょ、先輩っ！...先輩？」



見渡すところにイケメン

そして所々に美女。


どうしよ、今すぐ逃げ出したい。




どうやら、来てはいけないようなところに連れてこられてしまったようです_____

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