メダロット...？ (ページ8)

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1話(⑤)うごけ！ポンコツメダロットページ8

『ほ...欲しいのは山々何ですが...』

私が少し、渋るような素振りを見せると

ヒカル兄さんは予算を聴いて来た。

『えっと...それが...』

ヒカル兄さんに顔を寄せるように

手招きし、耳打ちをする。

「うーん、それは絶対無理だ」

『ですよね〜ハハ〜...』

いい声で、無理とハッキリ言われた。うん、

遠回しに言われるより

諦めがつくから言いけれども...

「うーん...待てよ？」

ヒカル兄さんが閃いた様な顔をし、

ダンボールを漁る。

「あった〜、コレコレ！」

フゥっと大きく息を吐いて埃を散らせるが...

アニメで見るよりも

心做しか埃がすごい気がする。

ほら、ヒカル兄さんすっごいむせてるじゃん。

「これなら、売ってあげてもいいよ！」

持ってきた箱の中には見慣れた

黄色のKBT型メダロット。

「勿論、あの展示品のティンペットと一緒にね。

でも、メダルは別売りだぜ？」

知ってた

『初期型KBT...』

「ボロボロじゃない、ちゃんと動くの？」

アリカちゃん、あんまりボロクソに言わないで。

うちの推しの器になる存在なんだから。

『そ...そこまで言わなくても...』

「不良品なんじゃないの？

そんなの売りつけるなんて信じられない。」

まぁ、その後は思いの外突っぱねられたのだが。

というか、私巻き添えじゃん。

「アリカちゃ〜ん」

そんな、アリカのを呼ぶ声と共に、

カシャンカシャンとメダロット特有の

足音が聞こえてくる。

「あ、ブラス...」

その正体は、

アリカちゃんのメダロットのブラスである。

ちなみにメダルはカブトメダル(重要)

「えっと...」

ブラスが私を見て口篭る。

あ、そうか。イッキは元から吟釀町住みだけど

私は転校生だから

まだブラスには覚えられてないのか。

私は、その行間を読んで自己紹介をする事にした。

『私は天領A。最近引っ越して来ました。』

「Aさんって言うのね！素敵な名前...

これからよろしくお願いします！」

『そんなに硬くなくて大丈夫だよ？』

「それなら...よろしくね、Aちゃん！

あ、それとアリカちゃん!!

そろそろピアノの時間だから急がないと!!」

なんかピアノの話がついでみたいに聞こえるが

絶対ついででは無い...気がする。

「あ...そうだった!!

それとAちゃん、貴女も早い所お小遣い貯めて

メダロット買いなさいよね！

私とブラスがみっちり稽古してあげるからね？」

『あ...うん、わかった。』

アリカちゃんはそれだけ言って去っていった