【ky】カーテンコールを響かせて【短編集】 (ページ27)

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迷惑行為は禁止です。ページ27

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あくまでも店員として。

別に彼らだからとか言う訳ではなく。

女子大生達は、不機嫌そうに私を睨みつけた。
相変わらず暖簾の奥の彼らの顔は見えないまま。

｢なんですかあ？｣

｢居酒屋なんだから、席移るくらいあるでしょ。ねえ？｣

ケラケラと下品な笑い声をあげる彼女たち。
あぁ、本当にイライラする。

｢そういった行為は、店側で禁止されてます。｣

｢…は？｣

｢他のお客様の迷惑となるようなことは、お止め下さい。｣

口からのでまかせだった。

そんな禁止事項、存在しない。

詰まるところ、私は彼らを庇ってしまった。
好きな実況者であるという私情を無視しきれなかった。

｢もういい…行こ｣

ふてぶてしそうにその場を去っていく彼女達。

ほっ、と胸をなでおろした。

…冷静になって、自分の行動を思い返す。
と、途端に顔に熱が集中してきた。

自分でも、よくあんな行動に出たものだ。

彼らに見られる前に、厨房へ足を向ける。

｢あのっ、｣

大好きな声。

四人の中でも、ずっと昔から知ってて。

ずっと昔から応援してきた、あの声。

｢…ありがとうございました。｣

振り返ることはしなかった。

あの子たちに注意したくせに、彼らと話す権利なんてなかったから。

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