【呪術廻戦】双子の弟がいるとか聞いてない。【両面宿儺】

手の平返し ページ10

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なんだと思っている？

……悠仁の弟。可愛いい悠仁の可愛くない弟。有名な不良。女子供も平気で殴り捨てるような、血も涙もない極悪非道のク、





｢よし分かった、一回黙れ。｣


｢まだ何も言ってない｣


｢顔で分かる｣




その言葉通り、虎杖弟は心外だと言いたげに眉をしかめており。
そうしてまたお得意の溜め息をついては、何をどう言おうかと思考を巡らせているらしく。





｢あー……何となくは知ってるよ。あんたに恨みがあるらしいね。｣




虎杖弟の女だと思われていることに関しては大変不本意であるが、それもまあ自分の巻いた種であるから致し方ない。

知っていると告げた私に虎杖弟は元より怪訝そうな顔を更に顰めて、 呆れたような声でこう言った。






｢なら、助けても何ら不思議はないだろう。｣


｢…………ん？｣


｢俺の個人的な事情にお前を巻き込んでしまった。それだけだ。だから礼など貰う気はサラサラないし、裏を返せばお前だから助けた訳では無い。｣


｢え、最後のいる？｣


｢勘違いされては面倒だからな。｣





途中までなんて優しい不良なんだろうと聞いていた私に何たる手のひら返しであろうか。

一瞬でも良い奴だと思いかけた私が馬鹿だった。やっぱり可愛くはない、うん、可愛くは。





｢……兎に角、こんな場所さっさと出るぞ｣





さっさと帰ってしまうのかと思えば、彼は数歩先で私を見つめていて。
待ってくれているのだと数拍遅れて気が付き、鞄を手にして立ち上がるべく、足に力を入れたのだけれど。






｢……あ、れ｣





……腰って、どうやって上げるんだっけ？





｢……まさかとは思うが、お前｣


｢………………そのまさかですね｣






──これまでの一件で、私は盛大に腰を抜かしてしまったらしい。

恥ずかしい、普通に恥ずかしい。てか本当に立てないものなんだね。なんかごめんね。






｢……ったく、｣


｢は、……え、！？ちょ！？｣


｢騒ぐな、喧しい。｣





ひょい、と片手で私を抱えあげた虎杖弟。あんまりにも軽々しく上げられるものだから、私って意外と軽いのでは？と一人舞い上がっていれば｢重い｣と一言。

ねえ、本当に可愛くない。





｢いや、ねえ。にしても、他にあるじゃん｣


｢何が｣


｢おんぶとか、お姫様抱っ｣


｢落とすぞ｣


｢せめて最後まで言わせて！！｣




優しくなったり、元に戻ったり。

虎杖弟はよく分からない。





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