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21. ページ23

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毎日毎日食事を運んできた人間が消えた代わりに、女はその小さな手で男のために料理を作りました。

そしてまるで普通の夫婦のように、朝夕の挨拶を交わすのです。



厄介な者が来た、と男は思いました。

それと同時に、放っておけば恐怖で己の前から逃げ出すだろうとも思いました。

男はまるでその女を相手にしなかったのです。





しかしその娘、とんだ肝の据わった持ち主で、一ヶ月、二ヶ月と男の傍を離れる気配はまるで見えません。

それどころか男に屈託のない笑顔で笑いかけてくるのです。




男は戸惑いました。

初めて言葉をかけ、笑いかけてくれた女に酷く困惑しました。


ある晩になって、男の方から「俺が怖くないのか」と尋ねました。

女は「どうして」と不思議そうに聞き返します。




「見ればわかるだろう。この呪われた体を。」




そう言っても尚、女は分からないと言ったふうに首を捻るのです。




「でも貴方、何も悪いことしちゃいないじゃないですか。」



男は驚きました。女は何食わぬ顔で続けます。




「毎日私のご飯を美味しそうに食べてくれるのも、朝起きておはようと挨拶を交わしてくれるのも貴方だけです。」

「貴方のような優しい人、私は他に知りません。」




男の方も、初めて善人と言うものを目の当たりにしました。



人間は皆自分の都合のいいように考える。

ただ見た目が恐ろしいからと、自分を諸悪の根源であるかのように謳い出す。


しかし、女は違いました。

彼女だけが、男の本当を知っていました。

男を真に理解してくれた、たった一人が彼女だったのです。




男は彼女の陽だまりのような優しさに触れ、自身が人間であることを思い出しました。





それから、二人は仲睦まじく暮らしました。

日々の些細な幸せを分かち合い、季節の訪れを感じ、ただ静かに暮らしていました。




そうして、女が来てから数年目のある夏の日のことです。


嫌に盛った、暑い日でした。


女が買い出しに行くと出たきり、帰ってこないのです。


夜が更け、朝日が昇っても帰ってこないのです。


不安になった男は、その日初めて自分の足で蔵から抜け出しました。

村人は男を見るなり声を上げて怯えます。そして、男が彼女のことを聞くよりも先、震えた声でこう言うのです。





「あの女は、私達が責任をもって始末しました。」





女は、死んでしまいました。



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設定タグ:呪術廻戦 , 両面宿儺   
作品ジャンル:恋愛
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梅鉢朝桜 - 宿儺様ぁ…(泣) 愛してます、もう本当に…。素敵な作品をありがとうございます!!! (2023年4月26日 23時) (レス) @page43 id: 5a6192c453 (このIDを非表示/違反報告)
レナート(プロフ) - 好き……泣きました。。最高過ぎます…。こんな素晴らしい神作をありがとうございます…。 (2022年3月31日 2時) (レス) @page43 id: 3e48fe4f1f (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい - なんか原作で泣いたことないのに二次創作で泣くのなんで?特に宿儺と夢主ちゃんが最後話していたところが感動しました!応援しています! (2021年8月10日 14時) (レス) id: de4752e106 (このIDを非表示/違反報告)
好きです大好きです - えっ、何でしょうもうなんか凄かったです(;;)色んな夢小説を拝見していましたが、こんな素晴らしい作品初めて会いました!!本当に素晴らしい作品だと思います、読んでいるうちに情景がすんなり頭に思い浮かんじゃいますよ!お2人が幸せになることを祈ってます(^^♪ (2021年7月23日 17時) (レス) id: fdb8e911e1 (このIDを非表示/違反報告)
睡眠時間 - 途中で全てに気づいた瞬間、グッと溢れ出てきた感動、それと同時に作者様の素晴らしさを目の当たりにした。まるで、全てを見透かされていたかのような、先回りされた感じ。←ポエマーしてみました 一言言うと、最高でした大好きですありがとうございました!!!! (2021年4月20日 0時) (レス) id: ee5607c705 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2021年2月9日 22時

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