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同じ教師という職に就いているというのに、彼の家は私のものとは比べ物にならないほど立派で。
外装に負けず劣らずのお洒落な内装。単調な色合いで統一された家具たちは、その端々に彼のセンスの良さが伺える。




「……美味い!」


「本当ですか……!良かった。」




疲れているのもあるだろう。いつもよりも硬い表情で食事を口に運ぶ煉獄先生を見て冷や汗をかいたが、一口食べるなり彼は大声でそう叫んだ。

お世辞かとも考えたけれど彼にそんな深い考えはきっとなくて。美味い、美味いと繰り返しては大盛りのそれをあっという間に間食してしまったのだから驚きだ。


ぱちんと両手を合わせて律儀にご馳走様と言う彼を見て、自ずと笑顔が零れてしまう。私よりも年上のはずの彼が、今だけはずっと幼く見えてしまうから不思議だ。





「君は料理が得意なんだな。」


「いえ……得意だなんて。」


「そんなことない!君ならきっと良いお嫁さんになれる。」





お嫁さん。


その言葉にドキリと跳ねる心臓。……いやいや、アホか。単純過ぎるだろう、自分。

何と返せば良いかわからずに固まった私を見て、煉獄先生が更に続けた。





「……そう言えば、君は恋人はいるのか?」


「あははっ、居ないですよ。」


「なら、好きな人は?」





じい、と。物言わぬ目が私を見つめている。


途端に動かなくなる口と、変に熱くなる顔。


……好きな人、か。社会人になってからというもの、同性の友人さえまともに居ない私にとって恋愛話というのは何とも新鮮だった。

…………私の、好きな、人は。





「不死川、か?」


「……っ!」


「随分と懐いているように見えたが……違ったか?」





かくん、と首を傾げる煉獄先生。

揺れた瞳に光はない。いつかの彼を思い出して、一瞬だけ恐怖が顔を出す。気のせい、だけど。


口にするのは少し恥ずかしかった。

だから代わりに、キュッと目を閉じて小さく頷いて見せた。



言って、しまった。

初めて彼への恋心を誰かに打ち明けた。そもそも先程も言ったように、打ち明ける友人の一人もいないんだけれど。

少しだけ期待してたのだ。優しくて頼れる大人な煉獄先生なら、何か相談に乗ってくれるだろうと。
そんな思いから、縋るように彼を見上げた。





「───…………へぇ。」





含みのある、一言。

いつもよりもずっと低い声が、嫌に耳に張り付いて離れなかった。




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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , ヤンデレ   
作品ジャンル:恋愛
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える(プロフ) - はじめまして、今まで読んだ作品の中で一番私にハマった作品です…本当に素敵な作品です。もう本当感謝しかないですありがとうございます!!! (2021年2月15日 20時) (レス) id: 34190a2143 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - すごい!一気読みしましたよ!怖かったけど…なんか、なんか、すごかった!! (2021年2月1日 19時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます!!その褒め方は初めてされました!!笑 進撃知らないですが友人から伏線が凄いとだけ聞くので多分めちゃめちゃ褒められてますよね、嬉しいです!!笑 こちらこそ、最後までお読み頂きありがとうございました!! (2021年2月1日 0時) (レス) id: debafb75d4 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 伏線回収が進撃の巨人並みにすごすぎます。。めちゃくちゃ面白かったです。。。最高です。。 (2021年2月1日 0時) (レス) id: bf756d4cb5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 衣世さん» コメントありがとうございます!言葉選びには気をつけているので、そう言って頂けてとっても嬉しいです!!春の消失点の方もお読みいただきありがとうございます!とっても素敵なコメント嬉しいです!! (2021年1月30日 22時) (レス) id: debafb75d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2021年1月17日 20時

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