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吐いた息が白くなる。

冬場の体育館というのはどうしてこうも寒いのだろうかと常々疑問だ。そして態々こんな過酷な環境下で始業式を行う学校も謎である。時代錯誤だよ中継でいいじゃん中継で。


一時間にも及ぶ始業式。最初はお利口に体育座りをしていた生徒たちも集中が切れ、胡座をかきだす者も数名。あ、嘴平君が隣の女子に注意されてる。





「────次は生活指導部、冨岡先生からのお話です。」





生徒会役員である胡蝶さんの綺麗な声が体育館に響いた。眠りかけていた男子たちが一斉に目覚めるのが何だか面白い。


くわぁ、と大きな欠伸。


……しまった、思ったより声が出てしまった。やだ、そんなに睨まないでよ不死川。不可抗力ってもんでしょう。




「生活指導の冨岡だ。」



と続け様に聞こえてくるのは冨岡の声。

一応は式典の場であると言うのに彼は相変わらずの青ジャージ。

寒くないのかなんて頭の隅で心配になりながらも、いつもの長い話が始まると思うと気が滅入る。あぁほら、さっき起きた男子たちもため息ついてるし。


挨拶をしてから数秒。




「…………え?」




やけにためるな、と思い壇上の冨岡に目を向ければ、何故かこちらをじいと見つめていた彼と目が合った。

そんな彼の視線に気がついた生徒や教師たちも、チラホラと私の方を向き出して。




……な、んなんだ?私何かした?







「今日から三学期が始まる訳だが、俺から伝えたいことはたった一つだけだ。」






いつもとは明らかに違う語り口。

何事かと騒ぎ出す銘々。

一向に先の見えぬ現状だとか。






「俺は今年の二月八日をもって、三十歳になる。」






二月八日。他ならぬ、冨岡の誕生日。







「────三十歳になったら、


俺は橘先生と結婚する。」





………………。





「……は?」






その話、初耳です。



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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇   
作品ジャンル:恋愛
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華澄(プロフ) - うわぁぁ不死川さん切ない……!けど、とても面白い作品でした……! (2021年1月18日 8時) (レス) id: 10a0ab61a8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 莉子さん» 莉子さん!度々コメントありがとうございます!!私の方こそコメントの通知が来る度飛び跳ねて喜んでました!!笑 文章についてお褒め頂けるだなんて物書き冥利につきます…………!! とっても嬉しいです!ありがとうございます!! (2021年1月17日 22時) (レス) id: debafb75d4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - いろはさん» コメントありがとうございます!! 正直見切り発車で不安なところが多々あったので、そう言って貰えて何よりです!!頑張ります!! (2021年1月17日 22時) (レス) id: debafb75d4 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - ゆきさん完結おめでとうございます、そしてお疲れ様でした!!この作品、本当大好きで、義勇さんが好きって言うのもあったのですが、全く先が読めない展開で、あとは世界観や文章の流れや、行間など、台詞も含めてとても才能を感じてました。新作楽しみにしています! (2021年1月17日 22時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - ヤバいくらいに面白いしキュンキュンしちゃいました!!!もう大好きです((次の作品も頑張って下さい!!! (2021年1月17日 21時) (レス) id: 7954c2eb45 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2021年1月8日 11時

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