黒春 (ページ8) - 小説/夢小説

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黒春回し蹴りページ8

湊診療所にて、中也さんの眉間のしわは、森にいたときよりも深く、がに股に開いた両足は、今にも回し蹴りが飛んできそうになっている。
…私に？違う違う。
｢いやぁあ、傑作っすねこれもう！ここへの案内人役任されたって、地図読めなかったら案内人なんて勤まんないじゃあないっすかっはは｣
｢『圭吾、このスマホ逆探知して迎えに来てくれ』って、いやぁあ録音しとかなかった俺バカだぁ。なんで素直に『迷子になったから助けて』っていえないんすかっ」
｢組織一の体術使い、五大幹部の中原中也の名前が泣いてますよっはは。ひゃぁおっかし。何で電話する前に電子地図見るっていう発想に至らなかったんすか？｣
｢っふはぁあははははっ、あぁ、おも｣
やや高めの声は、ふぐゃっ、という空気の漏れる音と、回し蹴りによるドスンという衝撃音によって停止した。
｢るっせぇええええッッッ!!!｣
代わりに中也さんの甲高い声が響いた。
森で会ってからここにつくまでずっと、中也さんは悪口を言われてきたのだ。なにかやり返したくなる気持ちもわかる。
壁に寄りかかり、気絶している彼…東野圭吾は、やっと静かになった。

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