黒春 (ページ15) - 小説/夢小説

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黒春イライラページ15

次に患者さんがきたのは午前1時ごろだった。ばたんと急に扉が開いたかと思ってみると、一人の男の人が倒れていた。腕と脇腹からは夥しいほどの血が流れ、服を赤黒く染めていた。その姿を見て、私の眠気は吹っ飛んだ。
｢意識はありますか！？しっかりしてください！｣
私は男の人に駆け寄り、体を起こした。白衣に固まりかけてた赤黒い血がこびりつく。傷を負ってから時間がたっていないのだ。傷の周りの皮膚がやけどしているのが見えた。至近距離から銃で撃たれたのか。
男の人は私の声に答えない。息はしているがとても浅く、体も少し冷たい。
｢圭吾、消毒液持ってきて！｣
｢ふぁぁぁあ、…………何｣
｢寝ぼけてないで消毒液！｣
｢はーい………………むにゃ｣
｢寝ないで！｣
患者さん用のベッドに再び倒れ込む圭吾を叱咤した。それでも寝ぼけたままなので、男の人をベッドに寝かせ、自分で消毒液を持ってきた。
｢うぅーーーん、………また患者さん？｣
｢見ればわかるでしょう｣
｢傷の中に弾丸とか…ふぁぁぁあ、入ってない？｣
｢貫通してる!!!圭吾は起きて!!!血液採取して調べて輸血の用意して!!!｣
声が乱暴になってしまうのを止められなかった。患者さんの命が懸かってるのだから本当に起きて!そんな思いを込めて、のろのろふらふらと動く圭吾を一睨みした。しかし、目は開いてなかった。
私はさっきと同じ手順で異能を使い、傷口を治癒した。問題なく治癒したつもりだ。しかし男の人は目覚めない。
｢…圭吾、体温がどんどん下がってる｣
｢まってぇ、ぅーん、O型の血が見当たらなくて…｣
｢そこの段ボールに入ってるの違うの！？｣
｢これ、B型…………ふぁぁぁあ、｣
｢もう交代して！圭吾は患者さんの体擦ってて!!!｣
中也さんに悪態を付くときや、お喋りするときはあんなに元気だったのになんでこんなときに…。言い出したらきりがない言葉を飲み込んで、棚の中を漁った。すぐに出てきた。
｢見つかった！…ねぇ圭吾!!!患者さんと寝ないで!!!｣
疲れてるのは私だって同じだ。けれど、死にそうな人がいる前でそんな言葉は通用しない。寝ていい理由になんてならない。人を救いたいって思いは同じでしょう！？