13話 ページ14
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「絶対寒い…ほら、着て」
紫耀「じゃあ、はい…手繋いで、んで…はいっ、暖かい」
無理やりダウンを着させられ、手を繋いでダウンのポケットにそのまま入れると、ぬくぬくと少し温かさを感じる。
ブカブカなダウンはファスナーを全部挙げられてしまい、首が埋まってる。
紫耀「ほんとちっさいねぇ」
からかわれながらもスーパーに着くと、カートを引いてくれる。
その時に離れてしまった手がまた寂しく感じる。
紫耀「わ、見てバナナ食べたい」
「入れていいよ」
紫耀「ぬれおかきもある〜」
「…」
紫耀「これも食べたい」
カートを進ませながら目に入った好きなものを入れてしまう紫耀くんは小さい子供みたい。
「もー、こんなに今日だけで食べれないでしょ…置いてきなさい」
紫耀「食べる、食べれる…Aもこれ好きじゃん」
「…デザートを買うか、お菓子買うかどっちか」
大きな子供を相手してるみたい。
なんて思いながらやだ、だめ、を繰り返して最終的に私が折れてしまった。
「もう、はやく…行こ…」
紫耀「ん?A?」
まだ買わないといけない材料があるんだから、
そう言おうと思ってたのに…その言葉は出ることなくある人物を目で追うのに必死になってしまった
紫耀「何見てんの…あ、」
「…なんでもない…」
紫耀「こっち」
このままだと会ってしまう。
そう思ったのか、紫耀くんに連れられて反対方向に行く。
向こうはもうレジに並んでいて、お店を出て行ってから私達も行動を始めた。
浮気されてるかもしれないな。と思っていたけど、分かってはいたけどいざその場面を見てしまうと思う事が沢山ある。
あんなに笑顔なあの人は久しぶり見たし、腕を絡めて歩いていても嫌そうな顔してなかった。
紫耀「A…おいで?」
人通りも少なくなってきた夜道で、街灯に照らされた紫耀くんに手を広げられ、おいでと言われると、
魔法にでもかかっているかのように、吸い込まれるかのように、その腕の中に収まる
全部紫耀くんだったらいいのに…
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作者名:優希 | 作成日時:2023年1月3日 14時