6話 ページ22
ゾロside
今のこいつは、さっきまでのあいつかと疑うほど
別人みてぇなオーラを放つ
展望台で黙々とトレーニングに励む姿を見ながら
俺も自身の修行に取り組む
今あいつは9歳な訳か…面影はあんだな
ｿﾞﾛ「…なぁ」
『？なんでしょう』
ｿﾞﾛ「お前、くいなって知ってるか？」
『え、お兄さん…くいなを知ってるんですか…？』
ｿﾞﾛ「その呼び方やめろ…あいつは俺の親友だった奴だ」
『だったって…今は違うんですか？』
…そうか、今のこいつの中では、
くいなは生きてんだな…
ｿﾞﾛ「いや、何でもねぇよ
…くいなについて、教えてくんねぇか？」
『…僕にとってくいなは、命の恩人です
それに、ずっとライバルでいると約束した人です
毎日のように戦って、引き分け続きで…
くいなには負けたくないと、必死で練習してます
それに、初めて僕を理解してくれた人です
僕の全てを知っても、変わらずにいてくれた…
本当に大切な人です…』
ｿﾞﾛ「…そうか」
あいつ…こんなに慕われてたんだな
昔くいなに、自分と互角の女がいると自慢された
くいなに連敗してた俺は悔しくて、
絶対そいつより強くなってやると豪語した
そしたらあいつは笑いやがった
それはとても嬉しそうに…
"ゾロはまだ勝てないんじゃないかな〜！
だってあたしでも勝てないんだもん！"
"勝つ！！俺はそいつに勝って！
くいなにも絶対勝つ！！！"
"Aは本当に強いよ…あたしも負けてらんない！
今日も1戦だけね！その後はAとだから！"
"ずりぃぞ！！"
懐かしい記憶だな
Aを見ると、どこか寂しげに窓の外を見る
『くいなは…道場にとてもカッコイイ男の子がいると、
その子に会わせてあげたいと言ってました
1つ年下の男の子で、
緑髪で生意気で超負けず嫌いで…
でも、人一倍真面目で努力家で
誰よりも夢に向かって純粋な子だと…
顔を合わせる度に、
くいなに決闘を申し込みに行くくらい
剣が大好きで、強さを求める真っ直ぐな子なのだと…』
ｿﾞﾛ「あいつ…そんなこと言ってたんか…」
『はい、彼のことを語っているくいなは…
とても楽しそうで、幸せそうでした』
ｿﾞﾛ「お前は…あいつといて楽しかったか？」
『それはもう…明日が楽しみになるくらいには…
くいなのおかげで、僕も少しずつだけど、
普通に生活出来るように戻ってきたので』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白銀幸成 | 作成日時：2020年4月5日 1時
