2話 ページ16
貴方side
ふと隣を見れば、ジッと僕を見るゾロ
何か可笑しな事でもあるのだろうか
『なんかついてる？…あ、これ食べる？
でもゾロ、チョコ嫌いじゃなかったっけ？』
ｿﾞﾛ「甘ぇモンは好きじゃねぇ」
『だよなぁ、びっくりした』
コーヒーの香りと味とのマッチングを楽しみながら
食べ進めている間も、ゾロは僕の方を見たまま…
…流石にずっと見られてると食べ辛いんだけど
そう思いつつ、ビターチョコの欠片を咥えた…
刹那、顎を掴まれて隣を向かされる
急な事で驚いたのも束の間、
ゾロは僕の顎を掴んだままに、
僕が咥えていたチョコの破片をそのまま齧る
唇が当たるか当たらないかのギリギリの距離…
予想だにしないゾロの行動に、
僕の心臓が跳ねずにはいられなかった…
『！？///』
ｿﾞﾛ「Aがあんまり美味そうに食うから、
どんなもんかと食ってみたが…すげぇ甘ぇな
やっぱり俺は、チョコなんざ食えねぇ」
唇に少し付いたソースを舌で舐めとるゾロ
混乱した僕の脳では、あまりにその姿が妖艶に映る…
苦手な甘みに顰めた顔、流された瞳…
体温が一気に上昇していくのが分かる
僕の顔は今までにないくらいに真っ赤だろう
慌ててゾロから顔を背けると向こうから飛ぶ声
ｿﾞﾛ「まぁ、お前の方が甘ぇけどな
それ、片したらトレーニング付き合えよ」
ゾロの足音が遠のくにつれて
ひたすらに強く早くなる脈拍…
自分の身体の熱は限界を迎えそうな程に熱い
『あんなの反則だろ…！！///
食べたかったなら言えよ…！なんでそのまま…//
くっそ〜…！あのマリモめ…！///』
前言撤回しよう…
秋は好きだ…でも先程まで冷たく感じた風は、
今となっては身体の熱を下げるほどの効力はない…
それに、あれだけ暖かかった太陽は
むしろ今の僕には暑すぎて溶けてしまいそうだ…
目の前に少しだけ残る、溶けかけたチョコを見て思う
ここまで僕の調子を狂わせられるのは、
後にも先にも、きっと彼だけなんだろうな…
顔に残る熱は、未だ引くことを知らない…
同時刻、展望台でダンベルを持ちながら
固まる青年が1人…
ｿﾞﾛ「俺…やべぇこと口走ったよな…///
くそっ…//やっぱ甘ぇモンは嫌いだ…！！」
こちらもこちらで、熱が引くのは長くなりそうで…
後日他のクルー達に知られ、
しばらくネタにされ続けるのは、また別の機会に…
Fin…
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作者名：白銀幸成 | 作成日時：2020年4月5日 1時
