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私はこの手で、色んな人を殺してきたのだ。
死んで地獄で罪を償う。私にはもうそれしかすることが出来ない。
夏油「…無理だ。君を此処には置いていけない」
「……なら…殺して。…お願い」
夏油「それも出来ない」
置いて行ってもくれない。殺してもくれないのなら、私にどうしろと言うのだろう。
生きろ、と?人殺しの私に。
そんなこと自分が許せない。私がこれからも生きるなんて事絶対に許せない。
殺してくれないのであれば、…なら
「ジリ…お願い…刀が欲しい……うん、ありがとう。いい子…いい子」
私が、私を殺す。
刀を抜き自らの首に刃を当てようとした時、手から刀が消えた。否、取られたのだ。
「…ぁ」
夏油「今此処で君が死んで何になる?君が死んだという事実が残るだけだよ」
「…ち、がう。死んで、そして罪を償うの…私は生きていたらいけないの…人殺し、なの」
夏油「死ぬ事が罪を償う方法だけじゃないよ。そして君は人殺しなんかじゃない。君は自らの意思で人を殺そうとしたのかい?
違うよね。君のその"力"が君を人殺しにしただけだ。
君は人殺しではない。
ほら、さっきだってあの男の人を殺そうとすれば殺せたのに殺さなかった。それが君が人殺しではない証拠だよ」
そう言い若い男の人はまた私の頭を撫でた。
なんで、なんでこういう事を言うの?
そんな事言われたら自分が生きていても良いと思ってしまう。
駄目だ。流されたら駄目だ!
夏油「それにね、君のその"力"は人を救うが出来るんだよ。人をたくさん助けることが私は一番良い罪の償いだと思うけどね。
そっちの方がきっとたくさん罪を償えるよ
まだ君が自分のことを罪人と思っているなら、ね」
「……それでも……罪が償えなかったら…?」
夏油「大丈夫。それはないよ。だって私も一緒に罪を背負ってあげるから。
あぁ、泣かないで…正直言って女の子に泣かれるとどうしたらいいか分からないんだ」
なんて、なんて優しい人なのだろう。
全く関係ないのに。私とは初対面なのに私の罪を一緒に背負ってくれるなんて。
私が何年ぶりかの涙を流していると優しく、優しく抱き締めてくれた。
こんなに優しく抱きしめてくれるのは初めてで私は更に涙を零した。
夏油「…ねぇ、名前聞いてもいいかな?」
「……A、Aです」
夏油「苗字は?」
「たぶん…A…でもほんとかは分からない…」
夏油「そっか。教えてくれてありがとう」
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みかん飴(プロフ) - うさぎを必死に覚えようとしている夢主ちゃんにノックアウトして思わずコメントを、、、いつも楽しく読ませて貰っています!無理しない程度に更新頑張ってください!! (2020年12月4日 22時) (レス) id: 692c18fb1a (このIDを非表示/違反報告)
蒼空麗(プロフ) - 最高です・・・!最高・・・†┏┛墓┗┓† (2020年11月22日 14時) (レス) id: 276da92bd9 (このIDを非表示/違反報告)
らぴ(プロフ) - kazu-mochiさん» 感想ありがとうございます(TT)面白いと言って貰えてとても嬉しいです!更新速度はとてもゆっくりですが最後まで閲覧して下さると嬉しいです。kazu様もお体には気をつけてください。 (2020年11月15日 22時) (レス) id: 3bce2f1a09 (このIDを非表示/違反報告)
シズク - めちゃくちゃ面白いです!!!!一気読みしちゃいました!更新楽しみに待ってます! (2020年11月14日 23時) (レス) id: 71a40c346c (このIDを非表示/違反報告)
kazu-mochi(プロフ) - 夏油さんの小説初めて読ませて頂きました!設定がしっかりしていてとても面白いです!これからも体調などには気をつけて下さいね。応援してます!! (2020年11月14日 11時) (レス) id: 2505b4e935 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らぴ | 作成日時:2020年11月12日 20時