雨降りコンビ【名探偵コナン】 (ページ20)

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雨の中ページ20

横殴りの雨がひっきりなしに降り続ける。

傘を捨てて、気持ちもろとも全部流してしまいたい、そう思った。

ただ黙々と歩いていた。

すぐに家に帰る気にもなれず、いっそ迷子になっても良いかもしれない、という考えが頭をよぎる。

こんな豪雨なので、歩行者は全くおらず、顔を見られずに済むことが幸いだった。

雨とも涙とも分からないものが頬をつたう。

そのまま顔を伏せて歩いていたが、トンッという軽い衝撃と共に顔を上げると、目の前に5人の男が立っていた。

「お姉さん、泣いてんの？なぐさめてあげよーか？」

5人のうちの1人が、ニヤニヤしながら近づいてくる。

Aは静かに抵抗の意を示すが、所詮男5人の力に敵うはずも無く、ついに取り囲まれてしまった。

普段のAなら、上手く切り抜けられるはずだが、今回は頭がぼうっとしている為、身体がだるくて、歩行者に助けを求めようにも人が通らない。

そんな状況の中、1人の男がAの右腕を掴んだ。

さすがに危険だと思ったAが、攻撃体勢に入ろうとしたその時、

「あの、この様に道を塞がれると非常に迷惑なのですが…

警察を、呼びますか？」

どこからともなく声が降ってくる。

警察を呼ばれてはマズイと思ったのか、チッと舌打ちをしながらAの腕を離すと、5人の男は走って逃げていった。

「大丈夫ですか？」

優しくかけられたその言葉に「はい」と答える間も無く、視界はぐにゃりと歪み、その男にもたれかかるようにして倒れてしまった。

男は、Aの身体が異常な熱をもっていることに初めて気付いた。

そして男はその顔を確認するなり、目を大きく見開いた。

(まさかこんな所で再会するとはな…)

Aの華奢な体をたやすく持ち上げると、

「相変わらずだな、A。」

そう、つぶやいた。