第５７話 ページ7
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「量子フィールドを発生させてるの？」
「魂の錬成術です」
ジェーンの姿が見えないとヘイムダルが知らせたあと、ソーは地球へ赴いて彼女の元へと向かった。
彼女はどうやら病気らしく、ソーはアスガルドの医療室に運んでさっそく検査してもらった。しかしそこへ、オーディンがやって来た。あまりいい顔ではない。
「病気だ」
「人間だからな。病気になるようできている」
「ここでなら助かる」
オーディンは強気な態度でソーに当たった。
それを見かねたジェーンが反発したが、彼の父親であり全能の神オーディンと知るとその勢いは衰える。
「ミッドガルドへ連れ返すのだ」
『ジェーン…！』
オーディンの命令で兵士がジェーンを強引に連れて行こうとする前に、Aが部屋に現れて割り込んで来た。
「A、なの…！？」
『そうよ。ああ、無事でよかった。』
上体を起こしたジェーンに抱きつくと、Aは少し違和感を覚えて少し距離を置いた。
「A、離れなさい。
その人間はただの病だという。ミッドガルドにいた身ならばどうすれば良いかは分かることだろう」
『オーディン』
「アスガルドで治療する必要はない」
『貴方には分からないのね。』
「なんだと？」
意外にも、Aはオーディンに棘のある態度をとった。誰にでも温厚な彼女のそうした姿を見るのはその場にいる誰も見たことがなかったので、妙な緊張感が部屋を駆け巡った。
「ソー、貴方のお父様はAと仲が悪いの？」
ジェーンが小声で聞いた。
「いや、そんなはずは…」
ソーは記憶を呼び起こし、2人の仲を思い出そうとした。しかしそこで気づいたのだが、昔も今もオーディンとAが2人で話しているところを見たことがないのだ。
厳格な式など、国務の際はあるもののプライベートで2人は一切関わり合いがない。
『これがただの病であると言うのなら、今ここで貴方が治してみてはどうなの』
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作者名：ゑもん | 作成日時：2023年12月26日 12時
