第100話 ページ50
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「まてまてまて、ダメだ……ッ」
サムに向けたヴィジョンの光線を避けられ、当たったのは同じくクインジェットを追いかけていたローディのスーツだった。
当たりどころが悪くスーツがうまく起動しないため、高所から真っ逆様に落ちていく。サムもスタークもその落ちる体を目掛けて降下するも間に合いそうにない。
『ローディ!』
後から追ってきたAは地面近くを飛んでおり、ローディをキャッチしようと考えていた。しかしそれも間に合うかどうか。
「A!!」
誰かが彼女の名前を呼んだ。
Aはスレスレでローディをキャッチしたものの、2人揃って地面を猛スピードで転がった。
ジェット機を追いかけるほどのスピードが出ていたのだから、その衝撃ともなるとたとえスーツを着ていたとしても計り知れない。2人は岩肌にぶつかりやっと止まった。
「ローディ、A……ッ」
スタークはAがわずかに動いたことを確認すると、彼女の腕の中にいるローディの顔部分のスーツを剥がした。
「フライデー」
〈心拍数が低下、医療機関に連絡します〉
「すまない」サムがそう言うと、スタークは顔も見ずに彼を吹き飛ばした。
『トニー…』
「A、大丈夫か?」
『体のあちこちが痛いけど、平気みたい…ローディは?』
スタークが何も言わずに黙っているのを見て、Aは全てを察した様に表情を暗くした。
『ごめんなさい…、できるだけ庇ったつもりだったのだけど』
言葉をなくしたスタークにAは手を重ねて目を閉じた。
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作者名:ゑもん | 作成日時:2023年12月26日 12時