断片的な記録2【MCU】 (ページ39)

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第８９話ページ39

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『スパイダーマン…ですか？』

「そうそう」

Aは久々のベビーシッター先で、気になる話を雇い主から聞いた。

「ここら辺によく出るらしいの。最近だけど」

『実際にお会いに？』

「旦那がね。私はもともと自警団とか好きじゃなかったんだけど、息子たちが車に轢かれそうなところを助けてもらったらしくて。」

『じゃあ、いい人なんですね。すごい』

一番末っ子の男の子に離乳食を食べさせながら、Aは母親にも気を配った。彼女は第三子を身ごもっている。

「でもまだまだ新人ね。調べたんだけど、出てこなくて」

「ママみて〜」

小さな体には大きいタブレットを持って駆け寄ってきた次男。その画面には下手な衣装を着たコスプレイヤーの人物が映っていた。

「ああ、これよ！長男が描いた絵とそっくり！」

『こ、これがスパイダーマン』

服装が服装なだけにダサい。
しかし嬉しそうにスパイダーマンの動画をみる親子を前に、急いで口を閉じた。

「この子はソーが好きだったんだけど、今じゃスパイダーマンのファンなの」

「スパイダーマン！スパイダーマン！」

『ソーは？ソー好きでしょ』

しかし次男は首を横に振って「スパイダーマン！」と連呼している。

「あら、あなたはソーが好きなの？まあ、あの甘いマスクと筋肉には惚れ惚れするけど」

『い、いいえ。私はアベンジャーズが好きなので、スパイダーマンよりかはソーの方がいいと思うだけですよ』