第87話 ページ37
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『本当に途中まででいいの?』
「ええ。ただ1人になる時間が欲しいだけだから」
『そう…』
ワンダは意外にもAに懐いていた。
幼い頃に両親を亡くしたもの同士なにか通じるものもあり、Aの得意の包容力でワンダの心を開いていった。
『帰りはどうするの?』
「自分で帰るから平気。」
『気をつけてね。こっちの地理にはまだ弱いでしょうから、困ったら誰でもいいから連絡するのよ。』
ワンダからの返事はない。窓の外の景色をただ眺めているようだった。あいにく雨だ。
「あなた、不思議な力を持ってるのね。」
『それはお互い様じゃない?』
「こっちで生活して気づいたの。
Aは心が強いから私の能力が効かなかったんじゃない。」
Aはもう答えがわかっているかのように、余裕を持って「じゃあどうして?」と聞いた。
「あなたの中にある不思議な
『よく気づいたわね、この力の事はあまりひけらかしていなかったのに。』
「私のとは似てるようで似てない。
その力からは……強さと、美しさと、安らぎを感じる。」
『そんなことまで分かるの…!でも、これはあなたの能力の劣化版といったところ。ワンダに本気を出されたら太刀打ちできない』
「私も若手に抜かされないよう頑張らないと」と笑うと、ワンダは拳を少し強く握りしめた。
「……あなたには勝てない」
『え?』
「何でもないわ。」
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作者名:ゑもん | 作成日時:2023年12月26日 12時