第86話 New faces ページ36
.
「どこ行くんだ?」
髪色を茶色に変えて、コートを着こむAにサムが尋ねた。現在どちらもアベンジャーズ・コンパウンドを主な居住地として活動している。
『ブルックリンの方よ。なにか買って来て欲しいものとかある?帰ってくるのは5日後だけど』
「今は…特にないな。」
『そう。じゃあ気が変わったら連絡ちょうだい。年寄りは若い人に甘いから、値段によっては奢っちゃうかも』
最後に鏡で髪型のチェックをしていると、後ろでサムが様子を見ていた。
「デートか?」
『違うちがう。向こうの家に帰るだけよ。
ベビーシッターでお世話になっていた家の子の誕生日が近いから、プレゼントをね。』
「そうか。マメなんだな」
『会うのはこれが最後なの。だから挨拶にと思って』
「会おうと思えばいつでも会えるんじゃないか?」
『いいえ。何年も経っているのに姿が変わらないとバレたら、私の正体が暴かれてしまうでしょう。
こちらの事情には巻き込みたくないもの。』
「いいやつだな」とサムに言われて「ありがとう」とAはお礼を返すと、仕上げに前髪をかきあげた。
「おい、街中でそれやるなよ」
『それ?』
「前髪うえにやるやつ」
『ええ…どうして?』
「A行こう」
サムが答える前に、ワンダが急かすように声をかけた。
『途中まで一緒なの。待ってて、今車出してくるから』
荷物を持って外に出るA。
2人を見送ろうと、サムは出入り口でワンダと待つことにした。
「しつこい男は嫌われる。」
「向こうは嫌ってない。」
30人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゑもん | 作成日時:2023年12月26日 12時