第８４話 ページ34
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『どうして私だけ……！！』
Aの苦しそうな口調に「トップの戦力に勝つには数で押すしかない」とキャプテンから無線の応答があった。
ソコヴィアでウルトロン軍団との最終局面を迎えた一行は、空飛ぶ大地からヘリキャリアへと市民を非難させていた。
〈実際、敵を一番倒しているのはキミだ〉
Aは次々と襲いかかりくる敵への鬱陶しさをトリガーに、久方ぶりに悪魔型へと姿を変えて剣を奮った。
『あなた達、私の剣捌きを分析して学習してるつもりかもしれないけれど、これを見切るにはあと300年技術が追いつかないとね。』
右手で剣を持っていたはずが、今度は両手で重い一撃を繰り出す。かと思えば左手に持ち替えてエキセントリックな剣さばきを披露するA。
軽々しく扱うものだから、まるで剣ではなくナイフでも持っているかのようだ。
『科学では証明できないことも世の中にはあるのよ』
すると子供の泣き声が近くの建物の裏から聞こえて来た。Aは急いで敵を一体倒すと、声の聞こえる物陰に駆け寄った。
『しまった……ッ！』
声の正体は敵のスピーカー部分から流れていた。瞬く間にAは取り押さえられてしまい、防御のために出していた黒い翼を重点的に攻められた。
「A！！」
アイアンレギオンとは違う、スターク製のアーマーを着た人物がAを取り囲む敵を一掃した。彼はAの状態を確認すると横抱きして空へ飛び出した。
『ローディ…ありがとう』
「ヘリキャリアは新入りが守っているからな。避難も済んだ。あと戻っていないのはAだけだ。」
気づかないうちにAの耳元についていた通信機器が外れていた。
「珍しいな、キミがやられるなんて。」
『機械を少しなめてた、トニーはすごいわね…。』
「……もう治らないのか？」
『前に切られた時は案外すぐに生えたれど、どうかしら。私も歳をとったから…』
少しぐったりとしているが、軽口を叩くAにローディは大丈夫だと判断して彼女を最後の避難者としてヘリキャリアに乗せた。
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作者名：ゑもん | 作成日時：2023年12月26日 12時
