検索窓
今日:13 hit、昨日:12 hit、合計:4,201 hit

第53話 Heaven ページ3






「ヘヴン…」



「こ〜らあんた達、そろそろ部屋に戻りな。
この人は旅で疲れてんだから」




女がそう言うと、子供たちは素直に聞き入れた。ソーに遊んでくれてありがとうと手を振って戻ってしまった。




「可愛い子供たちだ。それに愛国心にあふれて」



「あんた、只者じゃないね。」




先ほどまで和やかだった女が冷たく言った。
ソーは一瞬驚いたものの、あくまで平然を装った。




「まあただの、旅人だが?」



「うちの子たちにヘヴンの事を色々聞き出そうとしてるじゃないか。特に王宮のことをやたらと知りたがる」




気づけば店内にいるのは女主人とソーだけだった。




「あんた王宮に行きたいんだったね。
よければ話を聞かせてくれないかい」




2人は同じテーブルで話をした。彼女の名前はノア。
聞けば一番上の娘が王宮で働いているらしい。




「ヘヴンでは女男が100対1の割合で生まれる。そういう理なんだ。だから男がいると物珍しくて疑い深くなっちまう。許しておくれ」



「平気だ気にするな。俺も初めてここに来たものだから、早く彼女に会って安心したいだけなんだ」



「おやお熱いこと。で、何が知りたい?」



「何でもいい。今までずっとヘヴンという名すら知らなかったのだからな」




ノアは「じゃあ…」と王宮について教えてくれると言った。ソーの彼女が王宮で働いていると嘘をついたからだ。




「女王陛下が誰だか分かるかい?」



「A。A・アスタエルのはずだ」



「おお、それは知ってるんだね。当たりだ」




ソーをはそれを聞いて安心した。Aの名前すら違っていたらどうしようと思っていた。




「ここは遥か昔、荒くれ者の集まりの住む国だったんだ。国民のほとんどが女でありながら力も強く、戦いを好む種族でね。当時はみんな背中に翼が生えていた」



「今は違うのか?女王にはついているようだが」



「まあ待ちな。
当時世界は9つではなく10あった。ヘヴンがあったからね。しかしその危険性からオーディンを始めとする他の神々が世界を切り離し、存在を隠したんだよ。

そんでもって男が少ないもんだからよく女と内戦しててね。でもあるとき、1人の女性が現れたんだ。ヘヴン人にしては穏やかで心優しい清らかな心の持ち主さ。」



「まさか、それが」



「それが先代女王、A様のお母上さ。」

第54話→←第52話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
30人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゑもん | 作成日時:2023年12月26日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。