断片的な記録2【MCU】 (ページ16)

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第６６話ページ16

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『はあ…いい風』

空港を出て手配した車に乗り込んだAは、窓を開けて風を感じながら運転していた。しかし時刻はもう夜遅く、走る林道は真っ暗だ。

『人ッ……！？』

そんな中Aはハンドルを思い切り右に切った。
道路のど真ん中に人が立っていたのだ。この暗闇で。

車は見事に木にぶつかり、Aは車内で気を失っている。その人物は全身黒をまとい、男だった。そして左腕にはシルバーの義手。

「ああ、発見した。連れて帰る」

男はそのメタリックな腕で運転席のドアを強引に外した。すると気を失っていたはずのAが男を蹴って飛び出した。

『私をどこに連れて行く気なの』

マスクとゴーグルをした男の顔からは表情は読み取れない。しかし話を聞く気がないのは確かなようで、Aの質問には答えなかった。

男はナイフを取り出して接近戦で挑んできた。
その技は巧みで、素早さも力強さもそこらの兵士とは違う。

(でも何だか、この感じどこかで…)

もちろんAも速さも力も負けてはいないので武器がないながらも対抗していたが、その男の戦い方に既視感を感じていた。

(既視感というよりも、これ、私と同じ動き)

Aは何かに気づいたように男から距離を取った。

『あなた、バッキー？』

「…そんなやつは知らない」