第６３話 ページ13
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剣を手にしたAの前ではダークエルフ達も手が出ない。
しかしフリッガを殺した大男だけは、何度刃を入れても倒れそうにない。ソーと共闘するものの力の差がありすぎる。
すると、ロキが大男を後ろから刺したのだ。
『ろ、ロキ…逃げて』
大男は剣が貫通したにも関わらず、ロキの方を向くとその貫通した剣をロキに刺した。
「ぐッ…！！」
「やめろぉぉお！！」
「地獄で会おう、怪物め…！！」
倒れたロキだったが、次の瞬間大男の中に入れ込んだブラックホールの手榴弾が爆発した。
すぐさまソーとAがロキへ駆け寄った。
「ロキ、しっかりしろ…！
馬鹿め余計なことをするからだ」
「わかってる…馬鹿だよ、本当にな…」
Aの膝の上でロキの顔色がだんだんと悪くなっていく。そんな彼を優しくAが撫でた。
『ロキ、貴方も行ってしまうの…？』
「すまない…本当に」
今までの行いの事だろうか。ロキはソーの方も向いて言った。ポタポタとAの涙がロキの顔を濡らした。
『あなたまで守れなかった。フリッガに貴方を任せられたのに…本当にごめんなさい。』
「ごめんなさい…」と何度も謝るAに、ロキは手をそっと添えるとそのまま涙に濡れた唇へとキスをした。
「ずっとこうしたかった…」
ロキはそう言って今までにないほど優しく微笑んだ。
しかし着々と別れが近づいているのも確かだった。
「ソー…後を頼んだぞ」
「安心しろ、お前の行いは必ず父に伝える」
「…父上の、為じゃない」
ロキの肌は土気色に変わりひび割れていく。
最愛の人の腕の中で、彼は息を引き取った。
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作者名：ゑもん | 作成日時：2023年12月26日 12時
