一話 ページ3
-熱い 熱い 熱い
熱いってなあに?
炎が身を包み、塵となって消えていく。
残ったのは悲しい程の憎悪と嫉妬だけ、
失敗作の私と違って、あの人の最高傑作のリサが妬ましい、
あの美しさが欲しい。
「ねえ、起きて!」
目を開けると、見慣れない天井に何とも豪華なシャンデリアがぶら下がっており、
桜色と海色の混じったような髪の少女が私を揺すぶって起こそうとしていた。
「人間…?」
「人間なんかじゃないよ。私はサクラ、君たちと同じ、お人形なの、」
ハナと名乗った彼女は確かに人形であった。
間接も、人間のものではなく、人形特有のソレがきちんと埋め込まれていた。
白い布から覗く腕や足には無数の傷跡が掘られていた。
「ん…?君、達…?」
疑問に思い、隣を見ると、あの人が愛した完璧な美を纏った顔が安らかに眠っていたのだ。
百合模様の絨毯に広がる彼女の淡い透き通るような金髪や、シルクのような白くてなめらかな肌、
見覚えがあった。
「リ、リサなの…?」
「んっ…貴方は、、まさか、あの人が作ってたあの、お人形なの…?」
「そうだよ、君はあの人の最高傑作で、私は失敗作、」
リサは宝石のような瞳で私の不気味な姿を見つめると、にこりと微笑んで、こう言った。
「素敵な赤い瞳ね、吸い込まれてしまいそう。」
嘘だ、貴方はこんなにも私には持っていないものを持っていて、
私を素敵…?
馬鹿馬鹿しい。
お世辞なんか、いらない。
「えっと…、君たちは知り合い…?」
「私達は同じ人に作られたの、兄弟みたいなものよ。」
リサは私を抱き締めて、そう言った。
兄弟。
こんな美しい方の兄弟が私なんかでいいのだろうか。
なんでだろう、胸が、苦しい。
「所で、ここは、何処なの…?」
私がそう言うと、サクラは困ったように首を傾げて見せた。
「それが分からないの、ここは西洋の館で、ここには九体の人形達が集められてるみたい、私達に与えられたのは、様々なんだけど、喋ることや動くことも出来るし、それと———」
「これらは全て神のお導きなのです。」
其処には、背後のステンドガラスに照らされた、同じく人形の少女だった。
顔の左部分は壊れ、右足は無かった。左足には醜いツギハギがあり、
真っ黒なシスター服を身に包んだ彼女の黒い髪は一部分だけ血のように赤く、
何を信じて待ち望んでいるような瞳が私達を見下ろしていた。
両手には十字架を掲げて、
「貴方は…?」
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