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宝石1 ページ8

現代が進み、死後その死体を全て宝石にして、部屋に飾る人が増えてきた。 一部だけ宝石にして、指輪や何か、装飾品に使ったりもするらしい。

自分もその一人だ。

亡くなった友達の死体を宝石にしてもらおうと思ったのだ。

あの子は黒い艶やかな髪をいつも、三つ編みに結ったのを二つに束ねて、真っ黒なセーラー服から覗くスラックスと、桃のようなしっとりと、綺麗な形の手が好きだった。

利口そうな伏し目がちの瞳は、キラキラとしていて、輝いてて、睫毛は邪魔じゃないのかなと思うくらい長かった。

硝子を何でも重ねたような肌は白く、透き通っていて、右目の下の小さな、黒子が可愛いなと思った。

何十冊の大きく、分厚いどっしりとした本をいつも、軽々と抱えながら、いつもの木の下で読書をする姿は息を飲むほど美しかった。 好きだったのかもしれない。 彼女のことが。

ただ、挨拶をするだけの仲だったけれど、いつも遠くから眺めているだけでも、幸せだった。

そんな彼女が亡くなった。 死因は交通事故。 目立った怪我はなく、脳がやられて、そのまま、息をひきとったと、風のうわさで聞いた。 棺桶で静かに目を閉じていた姿も美しかった。

艶やかな黒髪はいつもと同じように三つ編みを二つに結われていて、真っ白なワンピースと、彼女の血の気のひいた、妙に青白い肌の白さが混ざり合って、ぼんやりとした輪郭が白ユリにのまれていた。

棺桶にはたくさんの白ユリで飾られていて、まるで王子様のキスを待つ眠り姫のように、 美しく、幻想的で、儚かった。

彼女の両親には頭を下げて、彼女の大親友で、宝石にしてもらってもいいですか。 と言ったら、嬉しそうに、そんなに思っている大親友がいたなんて。と歓迎されながら。 私は彼女を。愛しい愛しい彼女を宝石にして譲り受けることにした。

彼女は宝石となって、私の家に運ばれてきた。

宝石2→←疑似恋愛。



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ロサ・ラピスラズリ(プロフ) - YUKARI♪さん» ありがとうございます!! (2019年11月16日 10時) (レス) id: 18eae7edc1 (このIDを非表示/違反報告)
YUKARI♪ - なんか…言葉では言い表せませんが……心に残りますね…この作品好きです! (2019年11月16日 10時) (レス) id: ac04f3e538 (このIDを非表示/違反報告)
?紅林檎?(プロフ) - 魔月@ゲーム実況者同盟(元yuri)∞?さん» ありがとうございます!! (2019年10月22日 18時) (レス) id: 18eae7edc1 (このIDを非表示/違反報告)
魔月@ゲーム実況者同盟(元yuri)∞?(プロフ) - 好きです……何て言うかその……全部が (2019年10月22日 18時) (レス) id: a4b6751794 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅林檎 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年9月10日 17時

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