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誕生日。 ページ6

「あ、今日誕生日だっけ?」 夫が思い出したように聞いてきたので、まあね。と返しておく。 夫婦仲が悪いわけでもなく、特別仲がいいこともない。

お互いあのころのような身体が焦げるような愛も、恋も忘れてしまった。

二人とも機械的に夫婦という枠を守って、お互いを立てて、つつましく生きている。

そこに愛情なんてなかった。

「何がほしい?」 夫が新聞に目線をむけたまま聞いているのを皿を洗いながらお決まりの「なんでもいいわ。」でかえす。

誕生日といっても、私がその日に生まれたというだけで実際何もめでたくもない。

夫からのプレゼントは妙に高そうなアクセサリーやらが多いのは私に少しでも夫らしさ。というのを見せたいからか、それとも世間体が気になるからか。

恐らく後者だろう。

夫は表情も変えずに、ごちそうさま。美味しかったよ。と言って私はお口に合ってよかったわ。と微笑を浮かべる。

お互いそれが楽だ。

むしろ不仲になってしまっては、お互い名前に傷がつく×と。

それを恐れてか、めんどくさいのかお互いにいつも同じような言葉しか喋らない。

はぁ、、

お昼のワイドショーを見ながらお茶をすすっていると思わず溜息が漏れた。 あの頃のような身も、心も焦がすような恋がもう一度してみたい。

そう思ってしまっている自分がいる。

この退屈で退屈でつまらない日常を愛という名の絵具で染め上げてほしかった。

寂しさ、

とでもいうのだろうか。

誕生日がきても、結婚記念日がきても、ただ虚しい。 心に穴が開いたような。

つまらない、退屈な日々。

ピンポーン

玄関のチャイムが鳴ると、急ぎ足で玄関へ向かった。

「愛してるよ。」

「私もよ」

真っ赤に染め上げられる感覚が身体を走って、胸は幼い少女のようにうきうきと高鳴っていった。

真実なんてないのだ。

疑似恋愛。→←バスタブから見ている。



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ロサ・ラピスラズリ(プロフ) - YUKARI♪さん» ありがとうございます!! (2019年11月16日 10時) (レス) id: 18eae7edc1 (このIDを非表示/違反報告)
YUKARI♪ - なんか…言葉では言い表せませんが……心に残りますね…この作品好きです! (2019年11月16日 10時) (レス) id: ac04f3e538 (このIDを非表示/違反報告)
?紅林檎?(プロフ) - 魔月@ゲーム実況者同盟(元yuri)∞?さん» ありがとうございます!! (2019年10月22日 18時) (レス) id: 18eae7edc1 (このIDを非表示/違反報告)
魔月@ゲーム実況者同盟(元yuri)∞?(プロフ) - 好きです……何て言うかその……全部が (2019年10月22日 18時) (レス) id: a4b6751794 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅林檎 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年9月10日 17時

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