−5cm。 ページ26
今思えば、私のこの時の選択はきっと間違っていた。
この時祥彰君に声をかけなければ。あのまま何も知らないふりをして帰っていたら。今の私達はもうちょっと違ってたかもしれない。
「俺、Aさんのこと好きです。」
彼の口から出た、ずっと望んでいたその言葉。重ねられた唇から伝わる熱が、やけにくすぐったい。
でも、やっぱり脳裏にチラつくのは彩加ちゃんだった。もし私がこの場でこの告白を受け入れたら…。
「っ…ごめんね」
本当はすぐにでも抱きしめたかった。私もずっと好きだったよって、言いたかった。抱きしめて、2人で笑いあって、幸せになれたらどれほど良かったか。
呆然と立ち尽くす祥彰君を置いて、私は走ってその場を去った。 走り慣れないヒールに躓きながらも、後ろを振り返らず走る。
(早く追いかけてきてよ…)
ドラマとかなら、今すぐにでも追いかけて、抱きしめてくれるはずなのに。本当に私の事好きなら、引き止めて欲しかった。けれど、そんな願望が叶うはずもない。
(なんで私が我慢しなきゃいけないのよ。)
(祥彰君のこと好きなのは、私も一緒なのに。)
(なんで、なんで、なんで)
カツカツとヒールの音が響く中、頭の中は疑問ばかり。
彩加ちゃんが嫌いなわけじゃない。憎い訳でもない。
ただ、
(本当に私って意気地無し…)
全部周りの人のせいにして、自分の気持ちを押し殺して。そんな自分自身に、何より腹が立ったのだ。
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雪(プロフ) - AIKAさん» コメントありがとうございます!次回作も頑張らせていただきます! (2019年1月13日 23時) (レス) id: de60348c8b (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 東雲なのさん» 度々コメントありがとうございます!!東雲様のコメントが励みになりました!こちらこそ最後までありがとうございます! (2019年1月13日 23時) (レス) id: de60348c8b (このIDを非表示/違反報告)
AIKA(プロフ) - 完結おめでとうございます〜☆前作に引き継いで、すごくいい作品でした…!次作も楽しみにしてます。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: f10a4e8199 (このIDを非表示/違反報告)
東雲なの(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!このお話大好きだったので更新がなくなってしまうのは少し悲しく思いますが楽しませていただきました、ありがとうございます!! (2019年1月13日 19時) (レス) id: cdd7024e15 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 東雲なのさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです!! (2019年1月9日 19時) (レス) id: de60348c8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪 | 作成日時:2018年12月11日 23時