14cm。 ページ15
思いがけない名前に、どきりと心臓の音が大きくなった。
どくどくと波打つ脈がうるさい。
「なんで…?」
まさかAさんが周りに言った?それとも僕の態度がおかしかった?そんなことも考えたけど、その答えは案外シンプルなものだった。
「別に。女の勘。」
山森さんはそう言って悪戯に笑う。勘とは言っているものの、彼女の目はどこか真っ直ぐで、その裏側に鋭く光る何かがあったのを僕は見逃さなかった。
「図星、だね。」
「別に何も…」
「ふーん、そう。」
そうは言ったものの、彼女は既に確信している。今更何を言えども、もう取り消しは聞かなかった。
「てっきり、Aさんに告白して振られたのかと。」
「違う…。大体なんで僕が好きってことになってんの。」
僕の過去の行動をピタリと言い当てた。女性の勘とはいかに恐ろしいかを体感する。
けど、恥ずかしくなって、そんなふうにしか言うことが出来なかった。
「好きじゃないの?」
僕の目をしっかりと捉えてそう聞く。僕は何も言えなかった。
「あ…」
どう答えようかと悩んでいると、山森さんの視線が店先に向いた。つられて僕もそちらを見ると、噂をすればなんとやらで、そこにはまさにあの人がいた。
「Aさんもこのカフェ行こうとしてたんだ。」
なら誘えばよかったな、と山森さんは呟いた。けど、そんなこと耳に入らないくらい、僕の注意は彼女に注がれていた。いや、正確には彼女の横にいる男性に、だ。
(なんで川上さんと…)
メニューを見ながら話し合っているその姿は、傍から見ればお似合いの美男美女カップル。わかっていた。予想はしていた。けれど、実際にその二人を見てしまえば僕の心は酷く傷つくだけで。
「山本くん?」
「…ごめん、もう出てもいい?」
「あっ、うん。」
山森さんの了承を得て、僕らは会計を済ますと足早に店を出た。
何かを察したのか、山森さんは何も言わずに僕の後ろをついてくる。
店からしばらく離れた所について、ようやく山森さんが口を開いた。
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雪(プロフ) - AIKAさん» コメントありがとうございます!次回作も頑張らせていただきます! (2019年1月13日 23時) (レス) id: de60348c8b (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 東雲なのさん» 度々コメントありがとうございます!!東雲様のコメントが励みになりました!こちらこそ最後までありがとうございます! (2019年1月13日 23時) (レス) id: de60348c8b (このIDを非表示/違反報告)
AIKA(プロフ) - 完結おめでとうございます〜☆前作に引き継いで、すごくいい作品でした…!次作も楽しみにしてます。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: f10a4e8199 (このIDを非表示/違反報告)
東雲なの(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!このお話大好きだったので更新がなくなってしまうのは少し悲しく思いますが楽しませていただきました、ありがとうございます!! (2019年1月13日 19時) (レス) id: cdd7024e15 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 東雲なのさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです!! (2019年1月9日 19時) (レス) id: de60348c8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪 | 作成日時:2018年12月11日 23時