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13cm。 ページ14

あれからしばらくが経ったけど、結局Aさんを忘れることなんてできなかった。
勝手に告白して、無理やりキスして、振られて、傷ついて。自分勝手にも程があるけど、優しいAさんは僕を避けるようなことはしなかった。むしろ、何も無かったかのように振る舞う。

ちょっとでいいから、気まずそうな顔して欲しかった。
どこまでも僕が恋愛対象に入ってないことに、思わず深いため息をついた。



「山本くん、このあと暇?」

声のするほうを見ると、そこには同じライターである山森さんがいた。

「暇だけど?」

丁度撮影も終わり、帰り支度をしていた僕はそう答えた。
山森さんとは、ライターの中でも比較的仲の良い方だ。…と思う。
だから、こうやって彼女に誘われることも少なくはなかった。

「よかった。ちょっと付き合って。」

そう言って僕の答えを聞く前に、玄関へ向かって歩き出した。

早く。と言いたげな顔で僕を見る山森さん。このちょっと強引なところが彼女らしいな、と笑いが零れた。


______________


「んー!美味しい!」

「なんで僕連れてきたの…」

「今日からオープンっての今さっき知ったから誰も誘ってなくて。」


どうせ暇だったでしょ?と山森さんは笑った。まあ、確かにそうだけど。
僕らは駅前に新しく出来た小洒落たカフェに来ている。女性が好きそうなスイーツが沢山置いてあるこの店は、開店初日にも関わらず人で溢れかえっていた。

パンケーキを口に運ぶ山森さんを横目に、僕はコーヒーを啜った。

「山本くん、何か食べないの?」

「僕甘いものそんなに好きじゃないんだよね。」

「へー!意外だね。」

「意外って…」


一体僕は周りからどんな目で見られているのやら。甘いものが好きだと思われてたってことだとしたら、僕ってどれだけ男らしさがないんだろう。


(だからAさんも…)


はっ、となり自分の頭の中に浮かんできた彼女の顔に気づく。あの時からだいぶ経つというのに、こんなにズルズル引きずってる僕は情けない。
そんなことを考えていると、山森さんが何かを思い出したような顔で僕に尋ねた。


「そういえばさ、山本くん。」

「何?」

「Aさんと、何かあった?」

14cm。→←12cm。



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(プロフ) - AIKAさん» コメントありがとうございます!次回作も頑張らせていただきます! (2019年1月13日 23時) (レス) id: de60348c8b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 東雲なのさん» 度々コメントありがとうございます!!東雲様のコメントが励みになりました!こちらこそ最後までありがとうございます! (2019年1月13日 23時) (レス) id: de60348c8b (このIDを非表示/違反報告)
AIKA(プロフ) - 完結おめでとうございます〜☆前作に引き継いで、すごくいい作品でした…!次作も楽しみにしてます。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: f10a4e8199 (このIDを非表示/違反報告)
東雲なの(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!このお話大好きだったので更新がなくなってしまうのは少し悲しく思いますが楽しませていただきました、ありがとうございます!! (2019年1月13日 19時) (レス) id: cdd7024e15 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 東雲なのさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです!! (2019年1月9日 19時) (レス) id: de60348c8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年12月11日 23時

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