三十五話 ページ37
ちょっとヤバい感じがする…
さっき、「私はあなたの事情を知ってますよー」的なことを清光様に言った。その後に、私は敵じゃないよ、大丈夫だよーと…まあ、説得しようと思ってた。
思ってたのだが…
私の視界は今、黒。真っ黒だ。
『いや、かなり…ヤバい…』
私を視界を覆っている黒色は霧だ。何故だかはわからないが、さっきまで敵意むき出しでピンピンしてた清光様が「ごめん…ごめん」と繰り返した後、プツンと糸が切れたように力なく座りこんだ。
その直後に、黒い霧は流れる水のごとく部屋全体に広がった。
それは紛れもなく清光様から発せられたものだった。
「主っ…！」
唖然としていると後ろから声がかかった。
すると突然後ろに腕を引かれ、ぐらりとバランスを崩して庭に放り出された。
『うぶっ…』
体は地面には行かず、ポフッと誰かの胸に抱き止められた。
顔を上げると青ざめた鳴狐様が、後ずさりながら、私を片腕の中に守るようにして、黒い霧に刀の切っ先を向けていた。
お供「大丈夫ですかっ！」
『はい…』
依然として、霧の範囲は広がり続け、庭にも溢れだし、濃い霧が下半身まで隠した黒いの海となっていた。
何があったんだ？ いや、それよりもこの霧…
この霧は、とても冷たい。
息をすう度に、冷たい霧が入り込み痛みが走る、肺が凍りつきそうだ。
それから、もうひとつ…
霧からの強い悲しみと怒りと後悔の感情を感じとった。
きっとこれは私にしか分からない。
これが、私の背負わされた"呪い"だから。
安定「刀を下ろして」
そう言ってひらりと現れたのは水色の羽織。安定様だ。
鳴狐様の刀の反りをそっと手で抑え、私たちを背に部屋に向かって叫ぶ。
安定「清光！ もう止めてくれ…もうお前が苦しむことはないんだ。お前が、前の僕のために自分を責めなくていいんだ！」
清光「ごめん…ごめんな…」
だが、安定様の声は届いていないのか、清光様は謝り続け、黒い霧は私たちを飲み込もうと勢いを増す。
安定「清光…お願いだから、もう…止めてくれ」
涙を流しながらうつむき、消えそうな声でそう呟いた。
その背中は寂しげに震えている。
こんなにも大切に想われて…
愛されているのに…
一体いつまで無視し続けるんだ。
いつまで…逃げてるんだ。
その時、私の中の何がプツンと切れた。
終わり
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白夜狐(プロフ) - コメントありがとうございます！応援していただけてとても嬉しいです！なるべく更新できるように努力しますので、これからもこの小説をよろしくお願いします！ (2019年3月28日 14時) (
レス) id: 770b28e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
月音(プロフ) - 更新が楽しみです！！頑張ってください！ (2019年3月22日 5時) (レス) id: 0983f02872 (このIDを非表示/違反報告)
白夜狐(プロフ) - コメントありがとうございます！小説を楽しんでいただけて良かったです！更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします。更新できずにホントにすみません！ (2019年3月21日 20時) (レス) id: 770b28e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
薬研(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！ (2019年2月17日 19時) (レス) id: 74634cbff4 (このIDを非表示/違反報告)
白夜狐(プロフ) - コメントありがとうございます！もっと面白く物語を展開出来るようがんばります！ (2019年1月26日 15時) (レス) id: 770b28e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜狐 | 作成日時：2018年4月18日 6時
