Who is my prince? (ページ10)

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緑と、黄緑の自転車が
縦にならぶ。

こんな光景も、もう何度目だろう。

「Aは風磨くんと同じ高校だっけ？いいな～、元気にしてる？」
「ん、いま同じクラス……まあ、私はあんまり喋ったことないけど」

同い年だけど、聡はやたら
菊池くんを慕っていて

やたらキラキラした瞳で
ふりかえって私を見るけど

なんだか微妙な気分。

「俺もそこ受ければよかったかな～。Aと帰れるし」

俺帰宅部だし、と付けたし。

「……どうして？」

期待してしまう。
なにか、特別な意味がこめられてるんじゃないかって。

「だって、中学はほとんどAと一緒に帰ってたし、急にひとりになって寂しいんだよね」

寂しいのは
ひとりだから？

誰かがいれば、それでいいの？

モヤモヤ。
聡にとっては、深い意味なんてないんだろうけど
私は気にしてしまう。

好きな人の特別になりたいなんて
当たり前じゃない。

「でもさ、俺思ったんだけど……」
「うん？」

一瞬だけ、真剣な眼差しにきりかわる。

「……やっぱりなんでもない」

ほら、いつもそうやって
言うのをやめる。

何もないなら、なさそうなら
次の恋を見つけるべき？

きっと私が気づいていないだけで
聡を好きな期間はすごく長くて

……好きな人、なんて
どうやって作ったらいいのかわからない。