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「……気持ち悪い……」
「当たり前でしょ、バカなの?」
戻ってきたショーリは胃薬を持ってきてくれていたから 抱きしめたらしっぽでビンタされた。
「はぁ〜〜、俺もうこの仕事辞めようかな」
盛大なひとりごととともに 男の人がひとり入ってくる。
「うわ!え、あ ごめんなさい……片付けようと、思ったんですけど……」
「ああ……こちらこそごめんなさい、下げるのお手伝いしますね」
「えっ」
あんぐり口を開けるその人。お前が?って思うだろうな、そりゃそうだ。
「待って!? 全部食べたんですか!?」
「あ、やっぱりダメでした?」
「全然!いつも死ぬほど残されてたので……」
サラサラな黒髪に、タレ目気味な瞳。
ぷっくりとした涙袋が羨ましいな。
どことなく、人懐っこそうな 親しみやすい雰囲気だ。
「えっ、ほんとに おひ、お姫さまが……?」
そんなに大きく口を開けて……よっぽどびっくりしたんだろうな。
「ほぼ……9.5割ぐらい……」
「……ぐすっ、」
な、泣いた……?えっ、なんで?
「お、俺っ……ちっちゃな パティスリーをやってるんですけど、たまにティーパーティーだからいっぱい作れって呼ばれて……でも全然食べて貰えたことなくて……!だから、ほんとは不味いのかなって、不安で……」
えぐえぐと ガチ泣きされるから どうしたものかと戸惑う。……マリウス、引いちゃダメだよ。
「どれもとっても美味しかったです、ほんとに……! 」
「ですよねぇ?もう、食べてくれない人のために作るの嫌で……わざわざ呼んでもらっても、いくらお給金が良くても もうお断りしようかと考えていて……」
ほぼ空になったテーブルの上、来た時はそれはそれは色とりどりやスイーツたちが並んでいて、目で楽しむだけでもじゅうぶんだった。
……でもその楽しみ方は 作った人に失礼だと思う。
「でも、美味しいって言って貰えて安心しました」
「もう断ってもいいと思いますけど……もしまた同じことがあったら呼んでくださいね、結構私 入りますから!」
ショーリが耳元で「ホンモノと体型変わってくるけど……」と呟いた。
食べた分は、動けばいい……よね?
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ゆき(プロフ) - ゆいさん» 中身が実はかなり誤字まみれなのですがそう言って貰えて嬉しいです(TT)これからもいろいろ書いていくのでよろしくお願いします(*ˊˋ*) (2022年6月13日 21時) (レス) id: d091d9d96a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!ファンタジー要素強めなメルヘン系書くのがだいすきなので、そう言っていただけて嬉しいです(っ´;ω;`с ) (2022年6月13日 21時) (レス) id: d091d9d96a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ミニトマトさん» マイペースな更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします(*´ω`*) (2022年6月13日 21時) (レス) id: d091d9d96a (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ゆきさんのCCの本私も欲しいです〜泣 ゆきさんのお話は全部読みました!全部大好きです! (2022年5月20日 23時) (レス) @page48 id: 69bd512447 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 初めまして。ゆきさんの書かれるメルヘン風磨が大好きで何度も読み返しちゃいます!また楽しみにしております✨ (2022年4月30日 11時) (レス) id: b466031afb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2021年12月16日 21時