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「えっ、いやいやなんで……私?」
「だって、それがいちばん無難だろ。誰にも迷惑かからないし」
「たしかに……。いやでも」
「なに、俺じゃ嫌?」
「そういうわけじゃなくて……」
恋なんて、しようと思ってできるわけじゃないと思うけど……。
「嫌じゃないならいい?」
基本的に、この場所において 私に拒否権などない。
「…………は、はい……」
恋なんて、1度だってしたことないのに。
「荷物ここに持ってきて」
「……はい」
「これからここで寝て」
「は、え?」
「嫌なの?」
「イヤジャナイデス……」
なんだこの急展開。
お前絶対私なんぞ好きにならんだろう。
「ところでさ」
するり、細くて長くて綺麗な指が 私の指を搦めとる。ちょっとだけ 風磨さまの唇に触れた。
「……気に入らなかったの」
「へっ……」
「ハンドクリーム」
ハンドクリーム……って、部屋に知らない間に置かれてたあれ?
「……いらなかったら、捨ててくれていいけど」
「ちが、誰かの忘れ物かと思って……!風磨さまからだったんですね、ありがとうございます使わせて頂きます」
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風磨さまが、私の手荒れを気にしてただなんて知らなかった。
桃の甘くて優しい香り、ちょっとでも 良くなりますように。
「ねえ、風磨くん。僕たちここでいいの?違う部屋行こうか?」
「なんで?」
ブラッシングしてもらったマリウスはいつもより輝いて見えるよ……じゃなくて。
「ショーリ……私吐きそうなんだけど、抱っこしててもいい?」
「はっ……?いい、ケド……俺に吐きかけるとかやめてよ?」
いや、どうしてこうなった?
「……おやすみ」
「おやすみ、なさい……よい夢を……」
どんなに寝相が悪くても落ちなさそうなほど
大きすぎるベッドの上で縮こまる。
できるものならどうぞ?という気持ちで了承した。ごっこ遊びみたいなものだろうと思ったもの。
でもまさか、初日から一緒の部屋で眠ることになるとは思わないじゃない。
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ゆき(プロフ) - ゆいさん» 中身が実はかなり誤字まみれなのですがそう言って貰えて嬉しいです(TT)これからもいろいろ書いていくのでよろしくお願いします(*ˊˋ*) (2022年6月13日 21時) (レス) id: d091d9d96a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!ファンタジー要素強めなメルヘン系書くのがだいすきなので、そう言っていただけて嬉しいです(っ´;ω;`с ) (2022年6月13日 21時) (レス) id: d091d9d96a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ミニトマトさん» マイペースな更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします(*´ω`*) (2022年6月13日 21時) (レス) id: d091d9d96a (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ゆきさんのCCの本私も欲しいです〜泣 ゆきさんのお話は全部読みました!全部大好きです! (2022年5月20日 23時) (レス) @page48 id: 69bd512447 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 初めまして。ゆきさんの書かれるメルヘン風磨が大好きで何度も読み返しちゃいます!また楽しみにしております✨ (2022年4月30日 11時) (レス) id: b466031afb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2021年12月16日 21時