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外に少し出ただけで 冷たい空気を肌に感じて 身震いした。バカだ、本当にバカだ。
…………どうして。
自分の家に帰ってくると
玄関で座り込むバカがいた。
「…………風磨くんなにしてるの」
「おかえりA」
そっと指先に触れると、驚くほど冷たかった。
「来ちゃった」
「来ちゃったじゃないよ……今日何度だと思ってるの?……いつまで 待つ気だったの」
こんなに冷えきって、何時間ここで待ってたの? 私がもし 帰ってこなかったら どうなっていた?
「凍死するまで」
なんの躊躇いもなくそんなことを言うんだもの。「会いたい」とかなによ。なんでもないくせに。
「彼氏とのデート邪魔できた?」
「……デート、って 誰から聞いて」
「モチヅキ」
あの日 トイレで喋ったこと
どうして風磨くんに言ったんだろう。
「ねえA、行かないで。他の男のものにならないで」
「なんなの風磨くん……風磨くんが何をしたいのかさっぱりわかんないよ、私が誰と何しようと関係ないでしょ」
ほだされちゃダメだ、頭ではわかっているのに。風磨くんのはおもちゃをとられるみたいな執着心にすぎない、なのに……。
「Aは ずっと 俺の後ろをついてくる と思ってた。気づけば 俺が助けたり庇わなくても 前に進んでる。……Aが離れていくことが こんなに寂しいと思わなかった。
ねえA、お願い。俺から離れていかないで。俺のそばにいて」
「……そんなこと、今さら言われたって……」
言い返そうとすると 急に風磨くんの身体がぐらりと倒れる。
「えっ、風磨くん……?」
とっさに支えたその身体。手は異常に冷たかったのに 顔はものすごく熱くて。
呼びかけても返事してくれないその姿に
心臓が止まりそうになった。
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ふぅか(プロフ) - 何度も読ませていただいてます! ゆきさんの作品大好きです(*^^*) 他の作品もたくさん読ませていただいてます! これからも素敵な作品を楽しみにしています☆ ずっと応援させてください(#^^#) (4月26日 5時) (レス) @page28 id: af1a48aa9a (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち(プロフ) - ご無沙汰してます! 久しぶりにクズ風磨くんに溺愛されたくて来ちゃいました♡ 何度読んでも刺さるのでほんとにこのお話を生んでくださってありがとうございます!新しいお話も、またコメントさせてもらいますね♪ (4月6日 11時) (レス) @page28 id: 8ba72403ce (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ninaさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました!絶対に彼女ちゃんが優勢です(笑)嫌いとか別れるが彼的地雷ワードなのですぐに折れると思います(ノ∀`) 新作とってもゆっくりめな更新ですが、良ければ読んでみてくださいね♪ (2021年12月5日 23時) (レス) id: d091d9d96a (このIDを非表示/違反報告)
nina(プロフ) - ゆきさん、お疲れ様でした!風磨くん、良かったね!!将来的には、彼女の手のひらで転がされちゃうんでしょうね(笑)目に浮かぶようです!ゆきさんの書く小説が好きなので、新作も楽しみにしています! (2021年11月23日 10時) (レス) @page28 id: 3feab5f3eb (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ヴィントさん» ヴィントさんありがとうございます( ; ; )いつもいろんなお話でコメント頂けて本当にとっても嬉しいです( ; ; )あとはじめて大丈夫って言って頂けてとっても安心してます…(笑)私も好きです!! (2021年11月16日 23時) (レス) id: d091d9d96a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2021年10月23日 0時