可愛い君は、俺のもの。 Fuma.K 3

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｢あれ、佐藤は？｣
｢急ぎの案件だって外出しました｣
｢何もひとりでやることないじゃん、重かったでしょ｣
｢そういうのはぜんぶ菊池さんにお任せしようと思って残してます｣
｢……ちゃっかりしてる｣


だって棚の上の方にのせた箱だって奥まで突っ込めてないし そもそも持ち上げるの無理なものもあったし。

……部屋の隅っこに くるくるまわるイスを見つけたので、私も任せてばかりじゃなくヤリマス。



｢Aが入社してもうすぐ1年だね。どう？仕事辞めたい？｣
｢……まずその質問するひとってなかなかいないですよね。思うときもありますよ、そりゃ。朝起きた瞬間から帰りたいって思ったりしますし、でも ここに入社しなかったら……｣



風磨くんと再会できなかったんだし、
そう言いかけて止まる。

そんなこと口走っていいの？



｢恐怖症、もう平気なんじゃない？｣



……たしかに、佐藤さんとか 男の社員さんとも普通に喋っているし
紫耀くんは逆にご指名するようになったし。


慣れたきっかけが元凶っていうのは
ちょっと複雑だけど……。



｢俺ももうお役御免だし 新しい彼氏とも仲良し？｣
｢彼氏……？｣
｢……どれのせればいいの｣
｢あ、向こうの……｣




風磨くん、変なの。数ヶ月ずっと変だ。

彼氏、って……何の話ですか？



イスを使って 高くなった目線。
風磨くんの方をちらりと見る。
……集中しよ。



｢ねえ、これってどこ？｣
｢え？わっ、｣


なぜまわるイスをチョイスしたのか
振り向いた瞬間不安定に回るせいで
バランスが崩れる。


視界の隅っこに焦った表情の風磨くんがうつりこむ。


崩れ落ちた身体を強い力で引き寄せた。


風磨くんの頭が無造作に置かれたダンボールに思いっきり激突した。




｢っ……！？ 風磨くん……｣
｢A、痛いとこない？｣
｢私はへいき……｣
｢そ、よかった｣



風磨くんを押し倒すような体制で、私は全く痛いとこなんてない。
するりと 風磨くんの細い指が私の頬を撫でる。



｢どうして、かばってくれたの？｣


｢……勝手に体が動いてたから｣




だめだ、どうしたって
風磨くんは私のヒーローだ。

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