102 ページ2
･
｢待って！ちょっと、Aちゃん！？｣
｢え……｣
腕をいきなり引かれて、その方を見ると
ひどく焦った様子の紫耀くんがいた。
｢紫耀くん……どうして｣
｢それはこっちのセリフ！大丈夫？っていう歩き方してる人いると思ったらAちゃんなんだもん……とりあえず中入ってよ｣
気づけばいつもの美容院の前で
私、どれくらい歩いてきたんだろう。
このまま、どこに行こうとしていたんだろう……。
施術中のお客さんがいるのに、店を飛び出してきたらしく 無理やりバックヤードへと押し込まれた。
｢えっ、Aちゃん？｣
｢……お兄ちゃん、｣
顔を見ると涙が止まらなくなった。
お兄ちゃんの言う通りだった。
やっぱり、私 ダメな恋をしていたみたいなの。
･
店からすぐ近くのお兄ちゃん家まできて
シャワーと服を借りた。
美容師さんにタダで髪の毛乾かしてもらえるなんて、贅沢なのに
驚くほどになにも気持ちが上がらなかった。
｢俺の言ってる意味、理解した？｣
｢……した｣
｢じゃあ、｣
｢でも、風磨くんが好き｣
｢まだそんなこと言うの……？｣
だって、どうしたって好きなんだもん。
嘘をつかれたことなんて どうでもいい。
それよりもっとショックなことがある。
｢……アイツと話す｣
｢え？｣
｢１回殴らないと気済まない｣
｢やめてよ、お兄ちゃん……そんな｣
｢だって腹立つもん｣
凄まじい勢いで文章を打ち込むお兄ちゃん……たぶん、風磨くんに対して。
思わずお兄ちゃんに飛びついて 動きを止めさせた。
｢待って、お願いやめて……！これ以上嫌われたくないの、｣
｢……は？｣
｢好かれてなくていい、でも 嫌いにならないでほしい……だから、ちゃんと自分で終わらせるから｣
｢それ、本気で言ってる……？｣
｢ちゃんとわかってる……自分で言う｣
｢ごめん、Aちゃん｣
スマホの画面を見せてくる。
長々と続いたメッセージが中途半端なとこで終わってる。私のせい。
そして送信済み、既読もついてる。
…………最悪だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1532人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふぅか(プロフ) - 何度も読ませていただいてます! ゆきさんの作品大好きです(*^^*) 他の作品もたくさん読ませていただいてます! これからも素敵な作品を楽しみにしています☆ ずっと応援させてください(#^^#) (4月26日 5時) (
レス) @page28 id: af1a48aa9a (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち(プロフ) - ご無沙汰してます！ 久しぶりにクズ風磨くんに溺愛されたくて来ちゃいました♡ 何度読んでも刺さるのでほんとにこのお話を生んでくださってありがとうございます！新しいお話も、またコメントさせてもらいますね♪ (4月6日 11時) (レス) @page28 id: 8ba72403ce (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ninaさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！絶対に彼女ちゃんが優勢です(笑)嫌いとか別れるが彼的地雷ワードなのですぐに折れると思います（ノ∀`） 新作とってもゆっくりめな更新ですが、良ければ読んでみてくださいね♪ (2021年12月5日 23時) (レス) id: d091d9d96a (このIDを非表示/違反報告)
nina(プロフ) - ゆきさん、お疲れ様でした！風磨くん、良かったね！！将来的には、彼女の手のひらで転がされちゃうんでしょうね（笑）目に浮かぶようです！ゆきさんの書く小説が好きなので、新作も楽しみにしています！ (2021年11月23日 10時) (レス) @page28 id: 3feab5f3eb (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ヴィントさん» ヴィントさんありがとうございます（ ; ; ）いつもいろんなお話でコメント頂けて本当にとっても嬉しいです（ ; ; ）あとはじめて大丈夫って言って頂けてとっても安心してます…（笑）私も好きです！！ (2021年11月16日 23時) (レス) id: d091d9d96a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆき
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2021年10月23日 0時
