先輩、俺じゃダメですか？ Fuma.K

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｢菊池〜！今日の合コン 可愛い子集めといたからな！｣



翌日、先輩に聞こえるようにバカでかい声で叫ぶ中島さん。先輩どころかまわりにもダダ漏れ。俺は大切なものを何か失ったような気がした。



もちろん、そんな予定は無いのだけれど 先輩は ちょっと驚いた顔を して、それでおわり。


薄すぎる反応に 俺は大切な何かを失っただけで終わった。





……終わったと思ってた。








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｢えっ……すぐに確認します｣





お客さんからの電話、俺が入力した単価が死ぬほど間違ってるってクレーム。

……俺さぁ 新人じゃないのに 何してんだ。
先輩のことで頭がいっぱいです、とかそんなものが言い訳になるわけない。

残して帰るのは嫌だし、訂正入力して帰る
か。



｢……菊池くん｣


もう帰ろうとしていたのだろう。
全部閉じていちばんはじめの 青い画面に戻っていた先輩が ちっこくて可愛い手を俺に差し出した。



｢それ私が入力するよ｣
｢え、でも俺のチェックミスですし……｣
｢締め日前に教えて貰えてよかったじゃん。急ぎの用事あるんでしょう？｣



急ぎ、って 中島さんが言ってた 嘘の合コンのこと？


この人は 俺を合コンに行かせるために 残業しようとしてるんだ。


俺はただ、先輩に嫉妬してほしかっただけなのに。


｢半分お願いしてもいいですか、俺と一緒に残業してくれます？｣
｢……うん、いいよ｣

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